進化系ハンバーグから発展!流行中の“育てる”系フードとは
同業他社も参入、“育てる”という言葉が定着
オーナーの山本昇平氏は2005年にハンバーグレストラン『俺のハンバーグ山本』を立ち上げてヒット。その後、他社の似た店名の店が増えたために『山本のハンバーグ』と店名を変えたが、変わらず長年支持を得てきた。そうした中、炊きたてのご飯や焼きたてのハンバーグなど、各料理を追求しつつ、日常的な価格で体験できる業態として開発したのが『挽肉と米』だという。コロナ禍ということもあり、1人で楽しめるカウンター形式にし、90gのハンバーグを3回に分けて提供するスタイルも熱々の焼きたてを味わえるよう生み出された。
一方、2020年末から関西を中心に類似店ができてきた。同年12月には大阪・本町に『挽肉マニア』が誕生。カウンターには1席ずつ、寿司屋でいう“つけ台”が置かれ、炭火焼でレアに焼かれたハンバーグと焼き石がつけ台の上に提供される。お客はお好みでそのままレアのハンバーグを食べたり、焼き石にハンバーグをジュッと押し付けて “追い焼き”したりし、自分好みの焼き加減に育てる(=焼く)。
先に登場した元祖の『挽肉と米』よりも、レアなハンバーグを自分好みに焼くことを強調し、“育てる”という言葉も知られるようになった。
メニューは炭焼きハンバーグ90g×3個と鬼おろし(粗い大根おろし)、お代わり可能なご飯、生卵、味噌汁がセットで1300円(税込)。平日のみ、同じ内容にハンバーグが2個になるセット1000円(税込)が提供される。値段同額で、これらの生卵と味噌汁が特製坦々スープに代わる「〆担々飯」、和風出汁とわさびに代わる「〆ひつまぶし」がバリエーションとしてあり、卓上に備え付けられた玉ねぎソース、ポン酢、青唐辛子味噌、麻辣醤、紅生姜、山椒昆布佃煮、フライドオニオン、ふりかけ、卵かけご飯用醤油で自由に味付けして食べる。
2021年12月には、焼肉店を運営するさかもと(大阪府/阪本貴則社長)が大阪・梅田に『挽肉倶楽部』を開業。こちらでは卓上にIHコンロが備え付けられ、スキレット(鋳物フライパン)で和牛にこだわったハンバーグを提供。卓上には焼肉のタレ、タマネギダレ、デミグラスソース、岩塩、フライドオニオン、刻み山葵、鬼おろしを常備する。ハンバーグに加えて焼肉数切れを追加できるのも特徴だ。
同じく肉の卸屋や小売、焼肉店を運営するNEXUS MEAT(大阪府/永田真稔社長)が2022年4月にスタートした大阪・梅田の『永田精肉店』では、レアに焼いたハンバーグを皿に盛り付け、その周囲にピーナッツ味噌や辛子マヨネーズ、カレー塩、豆板醤、高菜、山葵を盛り付けて提供。卓上には塩ダレ、ポン酢、醤油ダレが備え付けられており、サイドメニューにはカレーやナムルを用意。客席に備え付ける陶板の固形燃料にスタッフが火を点け、お客自身が陶板焼きで肉を育てる(焼く)趣向だ。
このように、各店薬味やタレ、追い焼きする手法で差別化を図り、サイドメニューを変えて特徴を出す。一方で、参入する店に焼肉店や肉の卸業者が多いのは、肉の卸や小売をする中で出る端材や固くて商品化しにくいチマキ(スネ肉)といった部位を魅力的に使い切れる商品としてハンバーグに着目した結果、参入する例が相次いでいる。