インフレ下でいかに利益稼ぐか?食品スーパーの2025年の商品戦略まとめ
生鮮の独自化拡大、PCの活用で価格反映も
生鮮部門でも独自化の深耕を進めるSMが増えている。たとえば、近畿、東海で事業展開するオークワ(和歌山県/大桑弘嗣社長)は鮮魚を“看板部門”と位置づけ、即食商品の拡大で価値訴求を図っている。
24年夏から、「あんこうの肝(ぽん酢入)」のようなおつまみメニューを小鉢サイズで展開する「魚旬菜小鉢」シリーズを新たに販売。同シリーズの商品はすべてプロセスセンター(PC)で製造しているため、店舗の負担を減らし、廃棄ロスも少ない。これによる安定した粗利益の確保で、鮮魚部門全体の底上げにつなげている。
西友(東京都/大久保恒夫社長)は、生鮮食品のオリジナルブランド「食の幸」を23年4月から展開。バイヤーが直接目利きした商品は、各部門で設定された独自の選定基準をクリアしたこだわりのラインアップだ。24年10月末時点で3部門合計のアイテム数は138まで増え、売上は対前年度比で倍増と好調だ。
なかでも売れ行きがよいのは、畜産部門で販売しているオーストラリア産のアンガス種「味わい葡萄牛」。飼料にブドウの搾りかすを使うことで、やわらかでジューシーな味わいを特徴とする。これを素材に使ったチルドの「ビーフハンバーグ」やローストビーフなどの加工品の開発も行う。「味わい葡萄牛」では、価格と価値の両軸を追求した商品開発を志向することで差別化を図っている。
また、冷凍食品で価値訴求を図る企業もある。イオンリテール(千葉県/井出武美社長)は、冷凍食品の専門店「@FROZEN(@フローズン)」の出店を拡大。22年8月の1号店「@FROZENイオンスタイル新浦安MONA」(千葉県浦安市)のオープンを皮切りに出店を続け、24年11月時点で、首都圏、東海、関西などで14店舗を展開する。約1500SKUを揃え、マカロンやミートパイなど、一般的なSMの冷凍食品売場とは一線を画した豊富な品揃えを提供している。
価格訴求に重きが置かれる商材だった冷凍食品で、幅広い価格帯と品揃えで専門性を訴求するという、独自フォーマットを成長させようとしている。
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インフレであらゆるコストが高騰している一方で、お客の価格感度は高まっている。しかし、価格訴求に偏重していては、収益性は悪化の一途を辿るばかりだ。そこで、PBをはじめ、値頃感・付加価値を両立した独自性の高い商品開発に注力することで、差別化を図る動きが進んでいる。
本特集では、そうした動きの先頭にいるチェーンの先進事例を取材した。これらの事例をヒントに、自社の競争力向上に役立ててほしい。
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