卸オリジナル商品市場、内食需要の高まりで簡便・時短ニーズに対応した商品が続々
社会環境や時代のニーズに合わせて商品開発を行っている卸のオリジナル商品。長引く自粛生活により内食需要が高まったことで、時短ニーズに対応した冷凍食品に注力する卸が目立っている。各社の取り組みを探った。
下処理不要で食材ロスもない冷凍食品の需要がアップ
単身者世帯や2人世帯の増加などにより、簡便食材の代表格である冷凍食品の需要が高まっている。それに加え、コロナ禍の内食需要の拡大により、時短ニーズに対応した冷凍食品の品揃えが充実し、間口・奥行きともに広がっている。
三菱食品では、カット野菜と肉や魚介、タレがひと袋に入った冷凍ミールキット「ララ・キット」を展開。時短しつつもふだんとはひと味違ったメニューを楽しむことができるミールキットの需要は伸びており、同社ではこの秋、夫婦世帯、親子世帯を主なターゲットにした「Forシェアシリーズ」1品と、30~40代の女性を主なターゲットとした「For meシリーズ」2品の新商品をラインアップした。手間抜きでも楽しく料理や食事ができることを訴求している。
伊藤忠食品では、凍結機器の製造・販売を行うテクニカンと共同で立ち上げた冷凍食品ブランド「凍眠市場」のラインアップを拡大。この秋は、魚の旨味と食感を堪能できるよう厚切りにした「凍眠市場北海道産子持なめたかれい煮付」と「同さば味噌煮」を発売した。魚の煮付けは家庭でつくるには魚の下処理など手間がかかるため、冷凍食品に対するニーズは高そうだ。
一方、日本アクセスでは、安全・安心な国産シリーズとして、JA全農の「ニッポンエール」と「Delcy」のダブルネームで、冷凍野菜を13品展開。ここ数年、順調な拡大を続けており、なかでも「国産ささがきごぼう」や「九州産カット済みほうれん草」が売れ筋となっている。今年の秋には、ちょっと使いたい時に便利な「国産小口切り白ねぎ」と「国産カット済みにら」を新発売。これまでになかった商品で流通からも好評だ。
冷凍野菜や冷凍食品は、下処理が不要で、食材ロスもないことから今後ますます需要が高まり、これまで以上に高い品質が求められることが予想される。