コロナ禍の内食需要の高まりを受けて、漬物やキムチのカテゴリーはコロナ流行から1年以上経過した現在も堅調に推移している。とくに「キムチ」は乳酸菌の健康効果に加え、料理などにも使いやすい汎用性の高さも魅力となっている。
反動減があったものの漬物・キムチともに前年超え
KSP-POSデータによると、2020年8月から21年7月の漬物カテゴリー全体の期間通算金額PIは対前年同期比2.4%増の2万1227円、数量PIは同2.3%増の104.57となった。とくに20年8月、9月及び21年1月は前年比2ケタ増と大幅伸長。一方、21年4月以降は、コロナ禍直後のまとめ買いなどによる反動減により、前年を下回っている。
「キムチ」カテゴリーはさらに好調に推移している。キムチの20年8月から21年7月の期間通算の金額PIは8.2%増の6150円、数量PIは8.0%増の27.09となった。
同カテゴリーは20年8月から21年2月まで2ケタ増が続いており、とくに緊急事態宣言が発令された21年1月は対前年同期比32%増と大幅な伸長となっている。
また「らっきょう」の金額PIも対前年比4.6%増と好調に推移しており、内食需要の高まりが漬物カテゴリー全体の数字を押し上げる結果につながっているようだ。
漬物カテゴリーは少子高齢化による世帯人数の減少や食の洋食化による米喫食率の減少、塩分を気にするシニア層による漬物の敬遠などを背景に長らくダウントレンドが続いていた。しかし近年はらっきょうに含まれる食物繊維やキムチの乳酸菌といった健康面が注目され、コロナ禍による内食需要の高まりも追い風となって売場に活気が出てきている。
旬野菜を使った漬物や料理提案で鮮度のある売場づくりへ
漬物市場の好調を背景に各メーカーも商品開発に注力する。東海漬物ではロングセラーブランド「きゅうりのキューちゃん」を昨春リニューアル。キュウリの厚さを改良し、歯切れのよいパリッとした食感にしたほか、作り方も見直し、醤油の風味を閉じ込める製法を行うことで、従来品よりさらに香り豊かになった。また9~10月に期間限定品の「キューちゃん柚子こしょう味」も投入することで売場での存在感を高め購買を促進する。
キムチについても単身や少人数世帯の増加を背景にパーソナルタイプのプチキムチのラインアップを強化することで、消費者のニーズに応えていく。
「山形のだし」でしられるマルハチの「やわらか菜」は、日本国内の契約栽培で育てた肉厚でやわらかい専用品種の小松菜を使用した塩分25%カットの商品。シャキッとした歯ざわりとクセの少ないあっさりしたやさしい味付けで、幅広い年代に人気がある。
コロナ禍以降在宅時間が長くなり、家で食事をつくる機会も増えている。キムチはそのまま食べるだけでなく料理にも使える汎用性の高さで人気だが、ほかの漬物もご飯のお供としてだけでなく、おにぎりやチャーハンの具材など、さまざまなメニュー提案を行うことで手に取る機会を増やすことができるだろう。
漬物はほかのカテゴリーに比べて商品の入れ替えも少なく、売場に新鮮味を出すのは難しいが、野菜の旬に合わせたエクステンションや限定品も多い。ご飯のおかずとしての定番商品のラインアップに加え、季節商品の紹介や料理アレンジなど多彩な提案を行うことで売場の活性化につなげたいところだ。