ベイシア、“いいとこ取り”のハイブリッド魚「ブリヒラ」全店舗販売開始で売上6億円をめざす

若狭 靖代(ダイヤモンド・チェーンストア 記者)
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23年には売上6億円をめざす

 開発自体は1970年にされていたブリヒラだが、今回の大量生産に至るまでには課題もあった。1つは、親となる良質なブリ・ヒラマサの確保だ。ハイブリッド種には、掛け合わせによって両親の優れた形質を受け継ぐ「雑種強勢」という性質があり、これは有名な豚のハイブリッド種である三元豚や、和牛、米など畜産・農業ではすでに広く利用されている性質だ。ただし、良い生産物を得るためには良い親品種の確保・育成が重要で、近畿大学では長年にわたって試行錯誤を繰り返してきた。

ブリヒラの特徴について説明する有路氏。外見上、顔はヒラマサの特徴を持ち、体はブリの特徴を持つという。写真のブリヒラで約3kg相当

 さらに、ハイブリッド魚が世の中に受け入れられるかどうか、という課題もあった。この点ではベイシアが試験販売を行いつつ、お客に向けて丁寧にアンケートを取ることで認知向上と需要の形成に貢献した。

 気になる価格だが、カンパチ・ヒラマサ・ブリのブリ類3種の中で最も安価なブリよりも、10%程度上積みした価格(サク100g/税込494円)になるという。夏場に強いブリヒラをアピールするため、当面は刺身と寿司の販売に限り、お客のニーズを確認しながら魚総菜などへの展開も検討していく。21年は5万尾の販売で3億円の売上を目標とし、23年には10万尾以上、売上6億円をめざす。

 「マグロ、サケに次いで人気のブリ類を、年間通しておいしく食べてもらうと同時に、これを機に鮮魚部門を攻めの体制に持っていきたい」と橋本社長。群馬・埼玉という海のない県を中心に展開するベイシアが注力する鮮魚販売と、ハイブリッド魚の未来に注目だ。

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