2021年春夏「健康・機能性市場トレンド」 顕著な動きのあった4つのカ テゴリーを取り上げてレポート
糖質オフ・ゼロ系ビール類
巣ごもり年末年始の影響で大幅伸長 自粛太り対策として支持を獲得
【対象商品】4大メーカー(オリオンビールはアサヒビール扱い)のみ糖質オフ・ゼロ商品
20年10月以降プラスに転換 糖質ゼロビールが後押し
新型コロナの影響で市況が大きく変わったものといえば、糖質オフ・ゼロ系ビール類市場だ。ここ数年、全体的に低調だったが、コロナ禍での自粛生活で家庭内飲酒が増え、“自粛太り”を気にして糖質オフ・ゼロ系ビール類を選ぶ消費者が増えた。最初の緊急事態宣言下の20年4月と5月の前年比プラスがそれを示している。
その後、9月に前年比96.6%と落ち込んだが、これには理由がある。前年の19年10月に消費税増税があり、それに向けた買いだめで19年9月の売上が伸長したことの反動だ。
だが、ここで注目すべきは20年10月以降だ。市場は前年比プラスに転換している。とくに、20年12月~21年1月は前年比120%超と大幅伸長。主要ブランドすべてが前年比プラスとなった。長引くコロナ禍で帰省や旅行を断念し、年末年始を巣ごもりせざるを得なくなった。そして、「どうせ飲むなら、健康的なものを飲もう」という意識が働いた結果だろう。
これを後押ししたのが、20年10月6日にキリンビールから発売された「キリン一番搾り糖質ゼロ」だ。日本で初めて*¹ビールカテゴリーで糖質ゼロ*²を実現。普通のビールを飲みたいが、健康のために機能系を選んでいる消費者の支持を獲得した。加えて、20年10月の酒税改正でビールが値下げになったことも追い風になり、売上を大きく伸ばし、カテゴリー伸長に寄与した。
*1 ビールで糖質ゼロを実現した国内で初めての商品(Mintel GNPDを用いたキリンビール調べ)
*2 100ml当たり糖質0.5g未満のものに表示可能(食品表示基準による)
上位のポジションを確立「キリン 一番搾り糖質ゼロ」
「キリン 一番搾り糖質ゼロ」の発売は、売上ランキングにも影響を及ぼしている。21年2月の結果をみると、トップはキリンビールの「淡麗グリーンラベル」、2位はアサヒビールの「スタイルフリー 生」というおなじみの顔ぶれだが、これまで3位をキープしていたサントリーの「金麦糖質75%オフ」を抑えて、「キリン一番搾り 糖質ゼロ」がランクイン。発売以来、好調に推移し、上位ブランドのポジションを確立したようだ。
これまでランキングに大きな変動がなかっただけに、同商品が市場に新風を吹き込んだわけだが、21年4月13日にサントリーから同じく糖質ゼロビールの「パーフェクトサントリービール」が新発売。今後、糖質オフ・ゼロ系ビール類市場をさらに活性化させる存在として、ランキングにも変化がみられそうだ。