ごま油、コロナ禍で2ケタ増の大幅伸長味わいの違いで選べる楽しさも=カテゴリーフォーカス

微増傾向にあったごま油のマーケット。新型コロナウイルス感染拡大の影響で外出機会が減り、家庭でもちょっとおいしいものが食べたいというニーズから、春先以降、大幅伸長が続いている。
ちょっといいものを使いたい新規ユーザーを取り込む

リノール酸、オレイン酸を豊富に含む健康志向の油として、近年、人気の高いごま油。KSP-POSによると、ごま油カテゴリーの2019年8月から20年7月の期間通算の金額PIは、対前年比17.7%増の1579円、数量PIは同9.1%増の5.2と、金額・数量ともに前年を大きく上回る結果となった。平均金額については同7.8%増の301.2円となっている。
月別の対前年推移を見てみると、19年9月は消費税増税前の駆け込み需要によって同14.8%増と大きく伸長。増税直後の10月も前年を割ることなく推移したが、家庭内ストックがあるためか、11、12月は前年割れとなっている。20年1月以降は前年に対し微増傾向で推移したが、3月以降、直近の7月まで2ケタ増の大幅伸長となっている。とくに4月は同53%増、5月も同47%増と驚異的な数字となっており、6月以降も同20%以上の伸びが続く。
3月以降、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、生活者の消費マインドが大きく変化するなか、さまざまなカテゴリーが影響を受けている。とくに食用油カテゴリーは外出自粛や学校休校、リモートワークの推進等で、家で食事をする機会が増えたことにより、好調に推移している。
ごま油はおいしさを求めるユーザーや健康志向のユーザーから長年支持されてきた食用油だが、コロナ禍で家庭内での調理機会が増えたことにより、ちょっといいものを試したい、という新規ユーザーの心をつかみ需要が拡大。「マルホン胡麻油」ブランドを有する竹本油脂では、テレビCMやSNSを使ったプロモーションにも注力しており、若い世代にもそのおいしさが広まりつつある。
使い方やレシピ提案で選べる楽しさを訴求
ごま油は特有の豊かな香りから多くの家庭に常備されており、使用頻度の比較的高い調理油だ。油脂全体の中でも酸化しにくく、とくに高温加熱に強い。最近ではごま特有の「セサミン」の抗酸化作用に注目が集まっており、中高年を中心とした健康志向のユーザーに支持されている。
竹本油脂の「マルホン胡麻油」は化学薬品による抽出をせず、高い圧力だけで搾油を行う圧搾製法で手間ひまをかけてつくられ、その品質の高さから天ぷら専門店や一流料亭など、食のプロフェッショナルに愛用されているごま油だ。同社では「太白胡麻油」「太香胡麻油」「圧搾純正胡麻油」「圧搾純正胡麻油 濃口」の4品をラインアップしているが、今期はスタンダードで使いやすい「圧搾純正胡麻油」を軸に、プロモーションを行っていく。
新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、消費者も不要不急での外出を控え、自宅で過ごす時間が増えている。巣ごもり消費で、家でもよい食材や調味料を使いたいという機運は高まっており、そういった意味でもプロの調理人に認められた「マルホン胡麻油」は、そのニーズに合致したワンランク上の商品といえるだろう。
ごま油は焙煎方法や加工方法によって種類も味わいも変わるが、その違いや使い分けについて知るユーザーは少ない。それぞれの商品特徴や使い方、商品の選び方などをPOPやボードで紹介するほか、レシピと絡めて提案することで、ごま油商品を手に取る機会を増やしていきたいところだ。

売場活性化のためのMD EDITION の新着記事
-
2025/05/24
冷凍食品、多様化する消費者ニーズにこたえ コロナ禍明けも堅調に推移 -
2025/05/23
日本酒市場、食品とのクロスMDを強化し、日本酒とのタッチポイントを増やす -
2025/05/23
精肉1人当たり購入金額は減少傾向、簡便性や付加価値の訴求が活発化 -
2025/05/22
減塩商品の食卓出現頻度は増加傾向に、卓上調味料のニーズがとくに高く -
2025/04/07
菓子市場、物価高で食品全般が厳しいなか堅調も、カテゴリーごとには明暗 -
2025/04/07
スンドゥブ市場、韓流ブームを追い風に24年も市場は堅調に推移
この特集の一覧はこちら [164記事]
関連記事ランキング
- 2025-11-05卸オリジナル商品市場、国産原料や健康訴求で差別化、付加価値型オリジナル商品を強化
- 2025-11-06シチュー市場、アレンジメニューやクロスMD提案で、秋冬以外の店頭露出の増加をめざす
- 2025-11-20チーズ市場、価格改定の影響続く中、高付加価値商品が市場を牽引
- 2025-11-21鍋市場、需要の多様化が進み 関連商品が続々
- 2025-09-22パスタ&パスタソース市場、コロナ禍以降、市場は堅調に推移 24年夏は米不足追い風に需要増
- 2025-11-04即席麺市場、コスパ・簡便性で再評価が進み、市場は安定成長を維持
- 2025-04-25ドレッシング市場、サラダ以外の汎用使いが浸透、野菜高騰下でも堅調に推移
- 2025-09-16食品のプロが注目!2025年下半期にヒットを予感させる厳選16新商品の横顔
- 2025-11-28「食品ではなく食事を売る」光洋×マルコメが開いた発酵食品の新しい売り方
- 2021-07-262021年の精肉市場はどうなる?販売データや大手食品スーパーの売場からトレンドを探る!




前の記事
