小売業にも商機あり? 女性の健康課題を解決する新トレンド「フェムテック」とは

編集プロダクション雨輝
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小売業でも広がるフェムテック関連商品

 今まではオンラインでの取り扱いが主だったフェムテック製品だが、一般的な認知度の高まりとともに、足元ではマタニティや家電、医療系の小売店、大手百貨店でも取り扱いが始まっている。「吸水ショーツに続き、月経カップなども近い将来、多くのドラッグストアなどで並ぶようになるだろう」としつつも、「フェムテック製品はただ棚に置いておくだけで売れる商材ではない」と森本氏は話す。

 客層の年代が変われば、該当しやすい悩みも変化し、必要な商材も変わるのがフェムテックの難しいところだ。「月経カップひとつをとっても、商品が違えば柔らかさや大きさが全く異なる。お客さまにはどの商品が合うのか、それぞれの悩みを聞きながら接客するのがベストだ」(森本氏)

 森本氏は続ける。「高価な高機能化粧品が売れ続けるのは、売場にいるカウンセラーが商品の特性を説明できるだけではなく、お客さまの悩みに寄り添った商品を提案できるから。価格が高くてもその分機能性が担保されているから満足度が高く、リピートされるビジネスモデルが確立されている。フェムテックを求める人の悩みの多くは、美容よりもセンシティブな内容である可能性があり、的確なアドバイスが必要不可欠だ」(森本氏)

 百貨店のような手厚い接客を持ってしても、その場でフェムテック関連商品を購入するのを躊躇するお客は少なくないという。いち早くフェムテック製品を取り扱い始めた三越伊勢丹では、店頭に並ぶ商品をECサイトでも購入できるように購買導線を整えた。「百貨店のようにスタッフに人員を割けないドラッグストアでは、きちんと商品の特性を紹介するようなポップが必要。また、たとえば同じドラッグストアでも、都心部と郊外といった店舗の立地によってアプローチの仕方や課題は変わってくる。失敗をしてもそれを糧にブラッシュアップしてほしい」と森本氏は説明する。

 製品の特性だけでなく、女性の健康問題から学び、理解する小売店が増えることが、フェムテック市場をさらに大きく飛躍させる今後のカギとなりそうだ。

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