ラブコメからチョコレートの祭典へ進化!バレンタイン商戦が2023年も盛り上がる理由

宮川 耕平(日本食糧新聞社)
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昨年(2022年)のバレンタイン時期は、新型コロナのオミクロン株の蔓延がピークの頃でしたが、百貨店では数少ない店頭催事として集客力を発揮したようです。多くが前年を上回る実績を残し、今年も年初から始まったオンライン販売は好スタートを切っている様子。なぜバレンタイン商戦は盛り上がるのでしょうか? 催事を支えるのは、第一にチョコレート需要のポテンシャルです。 

チョコレート市場は世界各地の商品が世界中を流通する(松屋銀座店)
チョコレート市場は世界各地の商品が世界中を流通する(松屋銀座店)

チョコレートのポテンシャルは計り知れない

 チョコレートの国内市場は2021年で約5500億円(全日本菓子協会調べ)、菓子で最大のセグメントですが、規模にもまして異彩を放つのは、チョコレートというジャンルが持つ際限のないほどのバラエティでしょう。十円単位の駄菓子から一粒で何千円の高級品まで価格帯の幅がすごいうえに、冷凍からチルド、常温、ホットとあらゆる温度帯の商品が存在するカテゴリーでもあります。

 また、チョコレート市場は世界各地で製造された商品が世界中を流通します。松屋銀座の今年のバレンタインギフトのラインアップを見ると、ベルギーやフランスをはじめ、イタリアの特集ではシチリアやトスカーナなど地域別にチョコレートが揃い、トルコやハワイなどのメーカー品も集められています。

 また、Bean to Barのコンセプトでバヌアツ共和国やベトナム、フィリピンなどで製造されたチョコレートも扱います。一方で国産素材と合わせたチョコレート群は今年の目玉企画ですし、酒類やフルーツ等と合わせたチョコレートは世界各地にさまざまなバラエティが存在します。ローカル色そのままにグローバルに流通するチョコレートは、ワインやコーヒーとも似た真のグローバル商品といえるでしょう。

 産業が抱える課題も世界規模です。カカオ産地の貧困や自然環境、労働環境の問題は、やはりコーヒーに通じるものがあります。一方で、それらの諸課題に対して世界規模で対策が進められている産業でもあります。先のBean to Barを含め、サステナビリティに配慮した商品群のシェアはすでに一定の規模があり、それらはギフト用の高級品だけでなく、日常用途の商品でも選択できるほどです。

 カカオが持つ健康機能への関心も高く、ハイカカオはブームを経て定着しましたし、バレンタインとの関連でいえば、手作りを楽しむ文化もあります。

 チョコレートとは何でしょうか?まとめると、グローバル商品であり、ローカルでもあり、高級品にも駄菓子にもなり、全温度帯を網羅し、エシカル消費になり、健康志向にも対応し、ギフトにも外食にも内食にもなるという、全人類をターゲットにできる稀な食品ジャンルです。

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