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コロナ禍3度目の「ハロウィーン」 自粛モード解除の兆しも在宅需要は根強く

新型コロナウイルス感染拡大が徐々に収束し、人の動きも活発化してきた。そうしたなか食品小売チェーンにとって商機となる「季節催事」に対する消費者の意識はいかに変わりつつあるのか。直近のハロウィーンを例にその傾向を「ホットペッパーグルメ外食総研」の調査結果から見ていこう。

イベント参加予定者は前年より2pt増の14%

 コロナ禍の影響でこのところ以前ほどは盛り上がっていない印象のある「ハロウィーン」。リクルートの飲食に関する調査・研究機関である「ホットペッパーグルメ外食総研」では、毎年、首都圏・東海圏・関西圏の約1万人を対象に、ハロウィーンの過ごし方ついての調査を経年で行っている。

 22年の行事(飲食、パーティー、イベント)参加予定については3圏域計で14.0%と、コロナ禍となって2年目の前年の参加実績12.0%(22年に調査)と比べると2.0ポイント(pt)上回る結果となっている。参加予定率が最も高かったのは男女とも20代で、20代女性では20.7%、20代男性では20.4%が参加予定と回答している。

 「ハロウィーン」を誰と過ごしたいかについては(図1)、「ハロウィーンを意識して過ごすつもりはない」以外は僅差で、1位は「家族・親族(小学生以上18歳以下の子連れ)」で8.2%、2位は「夫婦2人で」で8.1%、3位は「友人・知人」「家族・親族(未就学児連れ)」がともに7.3%であった。

 「友人・知人」は前年の5位から順位を上げており、コロナ禍となって以降、引き続き「家族・親族」で過ごすスタイルが中心ではあるが、自粛モードからの変化の兆しが見られる。

図1

飲酒や外出の意欲高まるも過ごし方の中心は「家」

 過ごし方の希望については(図2)、「ハロウィーンを意識して過ごすつもりはない」以外でのトップ5は、1位は「家で過ごしたい」で19.3%、2位は「ハロウィーンスイーツを食べたい」で11.1%、3位は「飲酒を楽しみたい」で8.3%、4位は「会話を楽しみたい」で7.7%、5位は「手作りの料理を食べたい」で7.5%だった。

 「飲酒を楽しみたい」は前年5位から順位が上昇。「家で過ごしたい」の回答割合がコロナ禍になった過去3年で一番低いことから、外出する人が増える可能性もありそうだ。ただ、過ごし方の中心はまだ「家で」「スイーツ」「飲酒」「手作りの料理」等であるため、食品小売チェーンにとっては商機であることは間違いのないところで、しっかりと対策を練りたい。

 また、例年どおり20代~30代女性では、過ごし方に対する希望が多様で、とくに意識したいターゲットである。

図2

 

「経済効果」が3位に返り咲き
男女で見られる捉え方の違い

 「ハロウィーン」に肯定的な人が答えたその理由は、1位は「本来の意味と違っても日本風に楽しめば良い」で34.6%、2位は「子どものためのお祭りとして良い」で29.4%、3位は「経済効果がある」で27.6%だった。

 前年4位であった「経済効果がある」は3位に返り咲いた。性年代別では(下図)、20代~40代男性で「たまにはめを外す機会として良い」の回答割合が高く、20代~40代女性では「飾りつけなどが楽しい」の回答割合が高い。世代差や男女差が大きい結果となっている。

 一方、「ハロウィーン」に否定的な人が答えたその理由は、1位は「自分には関係がないように思う」で47.7%、2位は「何かと理由をつけて騒ぐのは良くない」で33.5%、3位は「新型コロナウイルス感染症の感染拡大につながりそう」で29.2%となっている。

20代~40代女性ではハロウィーンに対して「飾りつけなどが楽しい」の回答割合が高い

 前年1位の「新型コロナウイルス感染症の感染拡大につながりそう」(前年49.5%)は20pt以上回答割合が減少した。性年代別では、40代~60代女性で「自分には関係がないように思う」の回答割合が高く、20代~30代女性では「新型コロナウイルス感染症の感染拡大につながりそう」や「もう飽きた」の回答割合が他の性年代よりも高い結果となっている。


【調査概要】インターネット調査、調査期間:202年9月1日~2021年9月12日、有効回答数:1万116人(首都圏、関西圏、東海圏の合計)。令和2年国勢調査人口に基づいて性別・年代・地域の250区分でウェイトバックを実施)。

【執筆者】
『ホットペッパーグルメ外食総研』上席研究員 稲垣昌宏

執筆者

エイビーロード編集長、AB-ROAD.net編集長、エイビーロード・リサーチ・センター・センター長などを歴任し、2013年ホットペッパーグルメリサーチセンター・センター長に就任。市場調査などをベースに消費者動向から外食市場の動向を分析・予測する一方、観光に関する調査・研究、地域振興機関である「じゃらんリサーチセンター」研究員も兼務し、「食」と「観光」をテーマに各種委員会活動や地方創生に関わる活動も行っている。肉より魚を好む、自称「魚食系男子」