伝統製法で独自商品を生み出す! 鹿児島の老舗黒酢メーカー「重久本舗」の次なる挑戦
“本物志向”の酢をめざして
同社では、消費者ニーズを把握した商品開発を急ピッチで進めている。同社の商品開発のコンセプト、開発の方針は実にシンプルだ。
重久本舗5代目で、39歳の若さで経営の舵を取る重久雅志社長は、「伝統製造の黒酢だからこそ、妥協はしない。匠(職人の気質)の技をフル活用して、言葉で言うなら『酢を究める』ということに尽きると考えています」と話す。
「現在は消費者のニーズは多様化しており、全社で消費者が求めているのはどんな商品なのか、ということを追及しています。現在、酢を購入する人は女性が8割となっているが、これからは『酢が苦手』という男性向けの商品開発に取り組みます」(同氏)。
「露天甕壺醸造」という伝統製造から出発した重久本舗では、時代の変化を乗り越えるために何が必要かを追求している。5年前に社長に就任した重久氏は、学校卒業後、人材派遣会社で営業職に従事した経験を持つ。
「正直、酢は苦手でした。ただ、大好きな芋焼酎の飲みすぎで肝臓の数値が悪くなった時に、黒酢と一緒に飲んだことで健康回復をした体験をきっかけに、本気で仕事に取り組み始めました。黒酢の商品開発で国民の健康に役に立ちたいと思うようになり、いまでは天職と考えています。最近は、健康関連事業を展開する会社からのOEMの問い合わせも増えている。今後も、独自の商品開発をさらに進めていきます」(重久氏)
海外も見据えながら、“酢を究める本物志向”をめざす同社。「やる気」(情熱)、「一生懸命」(真剣)、「つながる」(連携)をキャッチコピーに、イノベーションとベンチャースピリッツ旺盛な若手経営者が率いる伝統製造会社の今後の動きに注目だ。