イオン、トップバリュ3品目だけ値上げ! 価格維持のために行う3つの取り組みとは
イオン(千葉県)は2022年6月、同社のプライベートブランド(PB)「トップバリュ」の3品目(マヨネーズ、ノンフライ麺、ティッシュペーパー)について、7月以降、値上げに踏み切ると発表した。同社は21年9月以降、「トップバリュ」の食料品・日用品約5000品目の価格据え置きを実行していた。値上げする3品目以外の商品については、当面の間価格を維持する。※文中の商品はすべて税抜
イオンが3品目の値上げに踏み切る背景とは
値上げする3品目については、①「トップバリュベストプライス マヨネーズ」(158円→198円)②「トップバリュベストプライス ノンフライ麺(しょうゆ・しお・みそ・うどん)」(58円→68円)、③「トップバリュベストプライス 外箱を省いたティッシュペーパー」(188円→195円)の3つだ。①については、植物油脂原の価格高騰、②は小麦の原料価格の高騰、③は、急激な円安と輸入物流費の高騰が値上げに踏み切った主な理由だ。
イオントップバリュ取締役マーケティング本部本部長の和田浩二氏は、同3品目以外の商品については「お客さまから、昨年より続けていた“価格凍結宣言”を続けて欲しい、という声をいただいている。厳しい環境だからこそお客さまの生活を支えたい」と、引き続き価格を維持するとした。なお、他商品の値上げに踏み切る際は店頭などで、前もって告知をする方針だという。
イオンが「トップバリュ」商品の価格維持のために行う企業努力は主に3つだ。1つめは商品の包装資材削減である。「トップバリュベストプライス あらびきポークウインナー」(258円)は、従来の巾着包装をピロー包装にすることで資材重量を約28%削減し、資材コストを減らす。サイズが小さくなったことで、納品時に段ボールに入る商品数が増加し、物流効率が向上した。
2つ目は、イオンのスケールメリットを生かした、長期的な発注・販売計画の策定による、商品の仕入れコストの削減だ。タイの工場から直輸入する「トップバリュベストプライス ライトツナフレーク まぐろ油漬」(4缶パック、338円)は、これまで1~2カ月のスパンでの発注をしていたが、それを延長する。そのことで、進行する円安の影響を最小限にとどめる為替予約を実行でき、仕入れ値を抑えることができる。「極端に言えば、ドル建ての為替予約よりも、人民元建ての為替予約で仕入れ値を抑えることができれば、そうしたオプションの行使も考えたい」(イオントップバリュ・和田氏)
最後に、PB商品製造工場に、イオンが直接仕入れた原料を調達することによる流通中間コストの削減だ。販売ボリュームの大きいトップバリュベストプライスの冷凍パスタ類、「ミートソース」(148円)などは、製造委託先に、「グリーンアイ オーガニックスパゲッティ」を製造しているイタリアの工場のパスタ(ブロンズダイス)を使用するよう指定している。委託先は原料調達のコストや在庫にかかるコストを削減できるのだ。