インド大手財閥のリライアンスインダストリーズは8月29日、同国の小売大手フューチャーグループの主要事業を買収すると発表した。子会社のリライアンス・リテール・ベンチャーを通じて約2471億ルピー(約3560億円)で買収する。
リライアンスインダストリーズはインド最大の民間企業で、小売事業のリライアンスリテールと通信事業のジオプラットフォームなどを傘下に持つ。小売事業の持ち株会社であるリライアンス・リテール・ベンチャーの2020年3月期の連結売上高は約2兆3400億円、純利益は約780億円だった。
リライアンス・リテール・ベンチャーは、フューチャーグループの小売り、卸売り、物流・倉庫の各事業を買収し、傘下のリライアンスリテールなどと統合する。
フューチャーグループはインド小売業では、リライアンスリテールに次ぐ2番手。総合スーパーの「ビッグバザール」や食品スーパーの「フードホール」、衣料品専門店「fbb」などを展開している。インドブランドエクイティ財団によると、フューチャーグループの中核企業であるフューチャーリテールの19年3月期の売上高は約2900億円だった。
インドでは、米ウォルマートと米アマゾン・ドットコムの進出により、小売業界で再編の動きが進む。ウォルマートは2018年にインドのEC(インターネット通販)大手フリップカートグループを子会社化。今年8月にはウォルマートのインド現地法人をフリップカートに統合し、28店舗を展開する会員制卸店「ベストプライス・モダンリテール」の事業をフリップカートに引き継いだ。
フリップカートとインドEC市場でトップシェアを競うアマゾンは、フューチャーリテールと提携。フューチャーリテールは今年に入って、アマゾンのECサイトに出店し、最短2時間の宅配サービス「プライムナウ」でフューチャーリテールの商品を購入できるようになっていた。
一方、リライアンスリテールは今年、同じリライアンスインダストリーズ傘下のジオプラットフォームとの合弁で、ジオマートを設立してEC市場に参入しており、フューチャーリテールはアマゾンのECサイトから撤退する可能性がある。