第24回冬季オリンピック(以下北京オリンピック)が2月4日~20日の間、開催されている。中国はこの北京冬季五輪を「ハイテク冬季五輪」と位置付け、オリンピック会場の内外で数多くのテクノロジーを使用している。今回、その中から注目される4つのテクノロジーを紹介する。
ロボットやAIを活用した非接触な防疫体制を実現
北京オリンピックの選手や関係者が滞在する「バブル」内ではスマート防疫ロボットが出迎えてくれる。 健康コードを提示する他の会場とは異なり、新型コロナに関連する有効な身分証明書をスワイプするだけでマスクを外すことなく入場でき、1秒以内に本人確認や温度測定など8つのチェックを完了することができる。その他、カクテルやコーヒー、食事を運んでくれる各種飲食提供ロボットや、1台で最大1000㎡以上の面積を、4~5時間で消毒できる噴射型ロボットなどが活躍している。
また、オリンピックを実況中継する手話通訳AIも投入されている。コロナ渦でAIが通訳することによって、人が集まることを防止するとともに、人件費の削減にもつながっている。
スマートバスの運行と「脱炭素」を打ち出した新エネルギーバス
無人のスマートバスも運行しており、乗客が待っている駅に自動停車して乗客を乗せ、目的地まで運ぶ。
さらに、環境にやさしい脱炭素を推進する水素燃料エネルギーを使用するバスを運行させることによって、冬場の電気自動車の走行距離や始動不能などの課題に対応している。このようなクリーンエネルギー車が大会関係者の乗るバスやタクシー全体の約85%を占めていて、「脱炭素」のコンセプトを明確に打ち出している。
革新的な殺菌方法で安全・安心な飲料水を提供
北京オリンピック会場では、どこでも安全・安心な飲料水を直接飲むことができる。革新的な殺菌方法を採用することによって、人体への有害性も指摘されている塩素を添加する従来の浄水プロセスを回避し、二次汚染の問題も解決しながら、飲料水の基準を満たすミネラルウォーターの生成を実現している。この高度な水処理技術は北京オリンピックの安全な水を確保するだけでなく、一般の人々の生活にも貢献している。 現在、ジャンプ競技などが行われている張家口市の一部地域では、一般家庭に1日約3万トンの良質な飲料水の供給が行われ、約20万人の人々の生活に恩恵を与えている。将来的には張家口では直接飲用できる水の公共サービスを完全に実現する計画だ。
クラウドを活用して放映・編集方法を革新
以前のオリンピック開催国の放送局では、現地から競技の模様を放映するために専用のスタジオの設置やリモート放送技術設備などを準備する必要があったが、北京オリンピックではこの従来の放映・編集方法を根本的に変えた。アリババクラウドが提供する「OBSクラウド」サービスを採用することにより、グローバルで多量の映像コンテンツを効率的に保存、管理、配信できる体制を整えて、インターネットに接続できる場所であればどこからでも、リモートで瞬時に映像制作や撮影終了後の映像の編集や音声の処理作業が行えるようになった。
その他、北京オリンピックでは、スマートベッドや人工降雪技術など、中国が2010年代後半から開発に力を注いできたテクノロジーが終結している。熱戦が続く競技だけではなく、コロナ禍で様々な注目テクノロジーが投入されている点でも北京オリンピックは見逃せない。
日系ブランドコンサルとして、上海に拠点を構え、ブランド戦略立案とクリエイティブ制作を提供する。多数のリサーチ案件を通じて消費者、マーケット動向を注意深く観察し、中国市場に合わせたブランドカルチャライズ®を数多く手掛ける。上海、東京、香港に拠点あり。