中国、米ウォルマートとサムズ・クラブを非難 新疆産品巡り
[北京 31日 ロイター] – 中国共産党の汚職監視機関である中央規律検査委員会(CCDI)は31日、新疆ウイグル自治区の産品を巡って、米小売大手ウォルマートと系列の会員制スーパー「サムズ・クラブ」を「愚かで短絡的」などと激しく非難した。
サムズ・クラブには先週、中国で抗議が殺到した。きっかけは、ソーシャルメディア「微博(ウェイボー)」のユーザーが、新疆産の製品がサムズ・クラブのオンラインアプリから削除されている場面だとするスクリーンショットをシェアしたことだ。
バイデン米大統領は今月23日、強制労働を巡る懸念を理由に、新疆ウイグル自治区からの輸入を原則禁じる「ウイグル強制労働防止法案」に署名。中国国内では反発が広がっている。
ウォルマートとサムズ・クラブはこの問題について公の声明を出していない。ロイターはウォルマートにコメントを求めたが、現時点で返答はない。
中央規律検査委はウェブサイトに掲載した声明文で、サムズ・クラブが新疆製品をボイコットし、沈黙を守ることで新疆問題を「切り抜けよう」としていると非難。「正当な理由なくある地域の産品をすべて排除するという行為は、本当の動機を隠すものであり、愚かさと短絡的な姿勢を暴いている。必ず報いを受けるだろう」とした。
ウォルマートにとって中国は重要な市場だ。直近の年間売上高は114億3000万ドル。ウェブサイトによると、ウォルマートを423店、サムズ・クラブを36店展開している。
ロイターが29日にサムズ・クラブの中国版アプリを使ってみたところ、干しブドウなど代表的な新彊産品を検索しても結果は示されなかった。福建のお茶といった他の地域の産品を検索しても同様だった。
中国のメディアによると、サムズ・クラブの顧客対応担当者は、新彊製品を排除したのでなく、在庫切れだと説明したという。
中央規律検査委は31日、「自己欺瞞的言い訳」と指摘し、サムズ・クラブが中国市場にしっかり根付きたいのなら、中国の新疆に関する立場を尊重すべきだと述べた。
中国のソーシャルメディアや国営メディアで海外ブランドがやり玉に上がるのは珍しくない。
H&Mは新疆から製品を調達しないと表明したため不買運動が起こり、3-5月の中国売上高(元建て)が23%減少した。
今月はインテルが、部品メーカーに新疆の製品や労働力の使用禁止を通告したことについて謝罪した。
中央規律検査委は31日、H&M、インテル、サムズ・クラブが「西側の反中勢力」と協力し、製品のボイコットなどで新疆を不安定化させようとしていると批判した。