百貨店復活のカギは、「過去を否定し続ける」ことにある理由

坂口 孝則(未来調達研究所)
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三越伊勢丹の外観
百貨店業界は過去を否定し、新しいビジネスモデルを創造できるか

「過去を否定し続ける」ことの大切さ

 某テレビ局の若手ビジネスパーソン向けの番組で、マーケティングに関して連続講義をしている。マーケティングを行ううえでいちばん心がけるべきこととして、「昔の自分を否定し続けることです」と伝えている。常に変わらなければならないのだ。

 マーケティングの基本として3C(Customer・Competitor・Company)分析がある。当然、市場が激変していけば3Cも変わりゆく。なのに、一度設定した自社のビジネスモデルを変えようとする企業や人は極めて少ない。

 変化をとらえようと顧客ヒアリングをしても、革新的なアイディアは生まれにくい。米自動車大手フォードの創業者として知られるヘンリー・フォードは、「次に何が欲しいかと顧客に質問しても『より速い馬』が欲しい、としか言わないだろう」と発言したのはけだし名言だ。企業は顧客が想像できないような商品やサービスを提示しなければならないのである。

 「ではどうやって?」──冒頭の講義でも同様の質問を受ける。答えは簡単だ。「とりあえず何かやる。失敗したら、次に違うことをやることです。何でもいいから」。よく笑われるのだが、私は真剣に言っている。

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