実践ウェザーMD #6 気温変化に注意の21年4月、注目はあのカテゴリー!

常盤勝美(True Data 流通気象コンサルタント)
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2021年4月の注目カテゴリ

 以上のポイントを踏まえつつ、4月の注目すべきカテゴリのうち2つを代表例としてデータとともに示したいと思います。

①焼き肉のたれ

 気温が上昇する2~7月の期間に絞って焼き肉のたれの購入数データを時系列で並べたとき、5月の大型連休を含む週までは、気温とともに購入数が上昇する傾向が確認できます。一方、大型連休後は購入数がほぼ横ばいの状態が続き、相対的に気温との関係性が弱くなるように見えます。

図表④ 焼き肉のたれの買物指数と最高気温の推移(2019年および2020年の2~7月)

 大型連休に向けて照準を合わせるのは基本ですが、気温と絡めた販促の強化によって、大型連休までの期間の購入数をさらに高めることができるかもしれません。具体的には。アウトドアレジャーでの消費がより増えると見込まれる、晴れて気温の高い週末です。週間予報で週末晴天かつ高めの気温が予想される場合にはビッグセールスのチャンスととらえていただくとよいでしょう。

②ビネガードリンク

 次に注目したいのは、近年人気が高まる「ビネガードリンク」です。春から夏にかけての味覚の特徴として、酸味や辛味を好む傾向があります。秋から冬は体を温めるため炭水化物の甘味を好む傾向がありますが、春から夏はその逆です。甘味はやや敬遠しがちになり、かわりに酸味や辛味への関心が高まります。

図表⑤ 最高気温とビネガードリンクの買物指数の関係(2019年および2020年の2~7月)

 また、これから湿度が高くなる季節を迎え、雑菌が繁殖しやすくなるため、殺菌効果を期待したニーズの高まりととらえることもできるでしょう。「ビネガードリンク」は、図表⑤に示したように、2019年と2020年で購入数が伸びる温度がやや異なりますが、いずれにしても気温が高いほど購入数が多くなる法則であることがわかります。25℃前後の温度帯のときは15℃前後の温度帯の時に比べて買物指数が2倍近い値となります。

 今年(2021年)4月は2019、2020年に比べて気温が高めとなる可能性が高い予報のため、この2年間のデータよりもさらに高い購入数を期待したいところです。

 4月は、夏物商戦の本格スタートとなる重要な時期です。予報は夏物商戦にとっては追い風の内容となっていますので、是非、昨対比で積極的な目標を立てていただきいと思います。


※抽出データ
株式会社True Data「ドルフィンアイ」(業態:スーパーマーケット)に搭載されている週次の買物指数(来店者100万人当たりの売上の意味を示す独自の指標)。抽出期間は2019年1月7日~2019年8月4日および2020年1月6日~2020年8月2日(データ抽出日:2021年1月12日)。
(全国食品スーパーマーケットのPOSデータをもとに統計化した購買データで集計しています。データには店舗・個人を特定する情報は含まれていません)

※ご利用にあたっての注意事項
ここで掲げた注目アイテムは、長期予報の内容に基づいてピックアップしたものです。実際の天候が予報と大きく乖離し、ここで着目したような販売動向にならない場合があります。また、気象要素と購入数の関係から求めた需要予測モデルによる需要シミュレーションですので、気象以外の大きな要因による販売動向の影響は含まれていません。

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