ミニストップ(千葉県/藤本明裕社長)は10月8日、2021年2月期第2四半期(20年3~8月)の決算説明会を行った。前期(20年2月期)まで3期連続の最終赤字を計上するなど業績が低迷していたミニストップ。新型コロナウイルスの流行によってコンビニエンスストア(CVS)チェーンが軒並み苦戦する中、黒字化に向けどのような戦略を取るのか。
来店客数減少に伴い減収、ただし国内営業赤字は減少
ミニストップの20年度上期の連結営業総収入(直営店の売上+加盟店からの収入)は918億8000万円で、対前年同期比92.2%だった。既存店売上高が同95.4%に落ち込んだことに加え、前年度上期中に国内店舗数が200店舗の純減となったことから、チェーン全店売上高が同91.7%となったことによる。客単価の底上げに注力したが、客数の減少をカバーするまでには至らず、既存店売上高は同95.2%に留まった。また、営業利益は27億500万円の赤字(前年同期は24億700万円の赤字)、経常利益は13億600万円の赤字(前年同期は19億8300万円の赤字)となった。
ただし、国内に限った営業赤字は16億6300万円で、前年同期の23億6000万円に比べて縮小した。これは上期、事業改革やコストカットに積極的に取り組んだことによる。連結での営業赤字拡大の主要因は、コロナによって特に大きな打撃を受けた韓国での営業利益が前年同期の3億5000万円から、今上期は4億円の営業赤字に転落したためだ。しかし、日本での営業赤字はもともとの額が大きく「連結業績改善において、国内(業績を)復活させることが大切」と藤本明裕社長は話す。
事業改革とコストカットで黒字化を目指す
黒字化へ向けて、ミニストップは事業構造改革に取り組んでいる。人気を集めている100円おにぎりや、店舗ごとのニーズに応じた品ぞろえもその一環だ。コロナ禍での新常態によって、既存店のうち54.6%を占めるロードサイドの店舗で日販が対前年同期比97.2%に減少し、ソフトドリンクや弁当類の売上が低迷するなど商品の売れ筋にも変化が見られた。今後は、業績の良かった住宅街立地での商品ラインアップをロードサイド店舗にも展開し、客数の回復を狙う。
客数が減少する中でも、「ハロハロ」「ソフトクリーム」などミニストップ独自のコールドスイーツは好調だった。上期、都市部を中心に全国で8店舗オープンした新業態「MINI SOF(ミニ ソフ)」は、この人気のコールドスイーツを専門に販売する店舗で、事業構造改革の一環としてスタートした。梅雨明けの遅れなどで売上目標を下回る店舗も一部あったが、「吉祥寺サンロード店」(東京都武蔵野市)を筆頭に好調に推移しているという。今後は冬メニューの開発を進め、通期で安定した売上を確保できる業態をめざす。
また、上期に行ったコスト面での構造改革として、低温便の削減がある。今まで一日3便だった低温便を2便に減らすことで、物流収支の改善と店舗での作業負担軽減を目的としたもの。便数を減少させると共に午後の納品を増やすことで、夕方から早朝の品揃えが充実するメリットもあった。上期では東北エリア・西日本エリアのみでの導入だったが、下期には関東エリアも2便体制に移行する。
“コンビニ会計“からの脱却を目指す新契約
ミニストップは下期から21年にかけて、本部と加盟店の利益分配の方法を変更する「ミニストップパートナーシップ契約」を推進する。現状の仕組みでは、店舗収入からまずロイヤリティを差し引き本部収入とし、加盟店はロイヤリティを支払った残額からさらに人件費や廃棄などの経費を全額支払っている。このような会計方式は“コンビニ会計”と呼ばれており、加盟店側の負担が一方的に重くなるとして問題視されている。
今回ミニストップが推進する同契約は、この利益分配モデルを変更。店舗収入からまず必要経費をすべて差し引き、残った利益を本部と加盟店で分け合うものだ。廃棄や高騰し続ける人件費など、加盟店の負担を軽減する一方で、本部側には今までは加盟店任せになっていたオペレーションの改善に踏み込めるなどのメリットもある。
ロイヤリティモデルや“コンビニ会計”からの脱却が狙いで、「本部だけがいいとこどりをしない経営をめざす」と藤本社長。12月から加盟店側への説明会を実施し、21年9月から順次運用を開始する。