ミニストップ、苦境の中で黒字化を目指す事業改革と、“脱コンビニ会計”で踏み込む改善とは

若狭 靖代(ダイヤモンド・チェーンストア 記者)
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事業改革とコストカットで黒字化を目指す

 黒字化へ向けて、ミニストップは事業構造改革に取り組んでいる。人気を集めている100円おにぎりや、店舗ごとのニーズに応じた品ぞろえもその一環だ。コロナ禍での新常態によって、既存店のうち54.6%を占めるロードサイドの店舗で日販が対前年同期比97.2%に減少し、ソフトドリンクや弁当類の売上が低迷するなど商品の売れ筋にも変化が見られた。今後は、業績の良かった住宅街立地での商品ラインアップをロードサイド店舗にも展開し、客数の回復を狙う。
 客数が減少する中でも、「ハロハロ」「ソフトクリーム」などミニストップ独自のコールドスイーツは好調だった。上期、都市部を中心に全国で8店舗オープンした新業態「MINI SOF(ミニ ソフ)」は、この人気のコールドスイーツを専門に販売する店舗で、事業構造改革の一環としてスタートした。梅雨明けの遅れなどで売上目標を下回る店舗も一部あったが、「吉祥寺サンロード店」(東京都武蔵野市)を筆頭に好調に推移しているという。今後は冬メニューの開発を進め、通期で安定した売上を確保できる業態をめざす。
 また、上期に行ったコスト面での構造改革として、低温便の削減がある。今まで一日3便だった低温便を2便に減らすことで、物流収支の改善と店舗での作業負担軽減を目的としたもの。便数を減少させると共に午後の納品を増やすことで、夕方から早朝の品揃えが充実するメリットもあった。上期では東北エリア・西日本エリアのみでの導入だったが、下期には関東エリアも2便体制に移行する。

“コンビニ会計“からの脱却を目指す新契約

 ミニストップは下期から21年にかけて、本部と加盟店の利益分配の方法を変更する「ミニストップパートナーシップ契約」を推進する。現状の仕組みでは、店舗収入からまずロイヤリティを差し引き本部収入とし、加盟店はロイヤリティを支払った残額からさらに人件費や廃棄などの経費を全額支払っている。このような会計方式は“コンビニ会計”と呼ばれており、加盟店側の負担が一方的に重くなるとして問題視されている。
 今回ミニストップが推進する同契約は、この利益分配モデルを変更。店舗収入からまず必要経費をすべて差し引き、残った利益を本部と加盟店で分け合うものだ。廃棄や高騰し続ける人件費など、加盟店の負担を軽減する一方で、本部側には今までは加盟店任せになっていたオペレーションの改善に踏み込めるなどのメリットもある。
 ロイヤリティモデルや“コンビニ会計”からの脱却が狙いで、「本部だけがいいとこどりをしない経営をめざす」と藤本社長。12月から加盟店側への説明会を実施し、21年9月から順次運用を開始する。

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