U.S.M.Hと経営統合控えたいなげやが上期大幅増益、今後の経営戦略とは

松岡 瑛理
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経営統合後も
自社PBは継続強化

このように業績が回復傾向にあるいなげや。下期はどのような施策を進めていくのか。

いなげやは23年4月、イオン(千葉県/吉田昭夫社長)、ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス(東京都/藤田元宏社長:以下、U.S.M.H)と3社で、「関東における1兆円のSM構想」実現のための経営統合に向けた基本合意書を締結したと発表している。

23年11月には、イオンがいなげや株の51%を取得し、いなげやはイオンの連結子会社となった。24年11月にはいなげやはU.S.M.Hと経営統合し、完全子会社になる予定だ。
こうした背景から、スーパーマーケット事業では下期、イオンのプライベートブランド(PB)である「トップバリュ」の導入アイテム数を前期末の約2倍にする予定だ。

ただし、いなげやは「食卓応援」「食卓応援セレクト」という自社のPBシリーズも展開しており、経営統合後もこれらPBは継続して販売するという。いなげやの本杉社長は「とくに『食卓応援』では生鮮素材を使い、他社にない商品開発を行っている。トップバリュとの差別化を図りながら、自社のPBには引き続き力を入れていく予定だ」と話した。

セルフレジの
導入を推進

そのほか、下期の計画としてはお客のレジ待ちストレスを軽減するため、各店舗でセミセルフレジやセルフレジの導入も推進していく。

ドラッグストア事業では、11月中に東京都羽村市から日野市へとセンターを移行する。センターは、在庫を保管せず、仕分けてすぐに発送するトランスファーセンター(TC)形態。これまでよりもスペースを広く確保し、小分け・仕分け・在庫管理の精度を上げることで店舗の労働時間を削減し、収益性の向上を図るねらいだ。

11月20日から行われている補正予算案の国会審議では「物価高対策」が論点の一つとなり、食品をはじめとする物価上昇は国をあげての関心事となっている。今後の消費動向について、本杉社長は「物価高とともに、インフレはしばらく続いていくだろう。一般消費者の生活防衛意識も高まり、買い上げ点数が伸び悩む傾向も続いていくと思われる」との認識を示した。

その上で、自社の取り組みについて「価格対応として、イオンや自社のPB商品を活用したい。お客のニーズにしっかりと応えられる場づくりや商品提供を通じて業績を回復させていきたい」と話した。

2社との経営統合により自社を取り巻く環境が大きく変わるなか、自社PBを継続販売するなど、いなげやはいかに自社のアイデンティティを守りながら、売上を取り戻していくのか、注目したい。

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