U.S.M.Hと経営統合控えたいなげやが上期大幅増益、今後の経営戦略とは
いなげやは、2024年3月期の上期決算を発表した。同社の経営業績はコロナ禍による内食需要が高まった21年3月期をピークに下降傾向にあったが、今期上期は上向きに転じた。同社が発表した業績の概要と回復の背景を支えた施策、イオンとの経営統合後の道筋を伝える。
販促施策の浸透により
客数が増加
いなげや(東京都/本杉吉高社長)の24年3月期第2四半期の連結決算は、営業収益が1291億円(対前期比104.9%)、営業利益が12億円(同560.5%)、経常利益が 14億円(同407.9%)、親会社株主に帰属する当期純利益が7億円(同738.5%)と、増収、大幅な増益だった。
事業別に見ると、スーパーマーケット事業(いなげや)の売上高が1005億円(同104.9.%)、営業総利益が325億円(同103.7%)と増収増益。ドラッグストア事業(ウェルパーク)の売上高が230億円(同105.9.%)、営業総利益が67億円(同105.5%)と増収増益だった。
新型コロナウイルスの感染拡大を背景に内食需要が拡大した21年3月期をピークとして、同社の営業収益(上期)は、20年度1368億円→21年度1290億円→22年度1231億円、営業利益(上期)は20年度46億円→21年度20億円→22年度2億円と下降が続いていたが、今期に入り回復の兆しが見えてきた。
数値の改善に寄与した23年度上期の取り組みを振り返りたい。
1つ目が、各種の販促施策だ。スーパーマーケット事業では、購入頻度が高い「食パン」や「牛乳」などの曜日別セールを実施。また、自社のポイントカード「ing・fanカード」と自社公式のLINEアプリを連携させるとポイントをプレゼントするキャンペーンを行うなど、デジタル施策にも力を入れた。こうした取り組みが奏功して、既存店の客数は同102.8%、客単価は102.2%とともに上昇し、既存店売上高は105.1%増となった。
2つ目が、店舗改装による既存店活性化だ。
いなげやは東京・多摩地域を中心として1都3県で事業を展開しており、23年時点で店舗はスーパーマーケット事業が133店、ドラッグストア事業が142店にのぼる。
24年3月期上期は、スーパーマーケット事業では「花小金井駅前店」(東京都小金井市)、「ina21町田成瀬台店」(東京都町田市)などの10店舗、ドラッグストア事業では「日野神明店」(東京都日野市)など14店舗で改装を実施。スーパーマーケット事業ではお客が買い回りのしやすいレイアウトへの変更や、新規カテゴリーの導入など売場の適正化などを行った。ドラッグストア事業では、客層や立地にあわせた小規模改装や、調剤薬局の併設などを行った。
また、スーパーマーケット事業では11月10日、スクラップ&ビルドにより、「いなげや練馬中村南店」(東京都練馬区)をオープンしている。