年間被害約2000億円! 飲食店のドタキャン「ノーショー」なぜ起こる? その対策は


編集プロダクション雨輝
Pocket

なぜノーショーは発生する?

Dumont/istock
Dumont/istock

 ノーショーの実態について、進藤氏は「悪意をもって無断キャンセルを行う者ばかりではなく、うっかりキャンセルを忘れるケースも割合として多いのではないか」と意見を述べる。予約変更をしようとお客が電話をかけることが多いのはランチタイムで、その時間帯は飲食店にとって連絡がつきにくい場合が多い。店舗に連絡できなかったお客は、キャンセルすべきことを忘れ、ノーショーにつながる、といった事例が散見されるという。今後、こうした事態を事前に防ぐ対策として、キャンセル連絡のしやすい予約システムや、当日に来店の確認の連絡を入れるシステムなども充実させていきたいと進藤氏は話す。

 コロナ禍以前は、予約時にお客のクレジットカード情報を入力させるサービスも行っていた。しかし、予約者に手間をかけることを嫌がる飲食店が多く、そのサービスは取りやめたという。「コロナ禍を経てお客からキャンセル料を取りたいという飲食店が増え、温度感が変わってきている実感がある。今後、ノーショーを回避する抑止力として、予約システム上でクレジットカード情報の登録を義務化するサービスのニーズが出てくるかもしれない」(進藤氏)

 トレタの中村仁代表は、飲食店を経営していた経歴を持つ。自身が現場で抱えてきた課題をクリアできるよう、自分ごととしてシステムを開発してきたことで、トレタはこれまでに“痒いところに手が届く”サービスの提供を可能にしてきた。

「これまでキャンセル料の振り込みに対応しないお客には、店舗が直接、集金に行くことも珍しくなかった。利益が伸びにくい今だからこそ、飲食店の本業以外の業務を少しでもデジタル化する手伝いがしたい」(進藤氏)

 トレタは今後、AIを積極的に活用しながら高級店、チェーン店を問わず店舗の収益構造に合わせたシステムの充実を図るという。進藤氏は「高級寿司店で予約時間の10分前にキャンセルされ、そこからすぐに売上5万円ぶんの席を埋められる店舗はあまりない。一方で、居酒屋では店外で呼び込みをすればすぐに席が埋まるため、直前でも連絡をもらえたらよいという店が多い。顧客獲得の難易度や、飲食店の客単価や客数に合わせたサービスを構築することが大切だと考えている」と語る。

1 2

関連記事ランキング

関連キーワードの記事を探す

© 2024 by Diamond Retail Media

興味のあるジャンルや業態を選択いただければ
DCSオンライントップページにおすすめの記事が表示されます。

ジャンル
業態