太平洋側でもドカ雪のリスクが高まる理由!2022年の天候トピックス総まとめ
2023年も猛暑の予感? 夏のウェザーMDの注意点
夏は「40℃超えの気温が、それほど珍しくなくなっている」という点を憶えておきましょう。
気象庁HPに掲載されている国内での最高気温順位表を見ると、2007年以降の日付が多くランクインしています。つまり、つい15年ほど前まではまれな現象だった40℃超えの気温が、今やそれほど珍しくなくなってきています。
40℃超えの気温が予想される日は、スポーツドリンクの展開強化は必須ですが、それ以上に生死に関わる暑さにもなるので、お客さま・従業員の健康管理を優先的に考えるべきです。屋外での長時間作業は回避し、こまめに休憩を取らせ、水分摂取を促し、熱中症予防に心がけましょう。
また、「線状降水帯の予測は難しい」という点も憶えておきたいところです。
2022年6月から、気象庁は線状降水帯に関する予測情報の運用を開始しました。2022年11月11日に気象庁が公表した初年度出水期(6~10月頃)の予報の適中率に関する検証資料によると、適中率は約23%となっています。当初気象庁が想定していた精度の水準と合致していますが、まだ技術的には進歩の途上にあると言えるでしょう。
とはいえ、線状降水帯の発生が予想されるとの気象庁からの呼びかけがあった場合は、「空振り(予想したが実際には現象が起こらなかった場合と示す表現)」を恐れず、防災的見地を最優先にお客さまや従業員の安全を確保する施策を実施しましょう。呼びかけはおおむね半日後の現象発生を想定して行われます。
1年の後半戦で注意したいのは……
夏が終わり秋に向かう頃は、「10月初旬までは、常に残暑の可能性を考慮」することが重要になりそうです。
北海道内では今年、10月としては観測史上初めて30℃を超える気温を記録しました。それ以外の地方でも、10月の初めは、気温が30℃前後まで上がった地点が多く見られました。東京都心でも、直近10年のうち5回、10月中に真夏日を観測しています。事前に9~10月の気温が低いと予想される場合以外、残暑は少なくとも10月初旬まで続くことを前提とした当該時期のMD計画を立てるべきでしょう。「
近年は「わずか数日のうちに2~3カ月分程度、陽気が大きく変化することがある」という傾向もあります。
たとえば2022年であれば2月24日頃までは全国的に気温が低い日が続いていたところが、その直後から一気に気温高めの状態が続くようになりました。また10月は、東京都心で4日に最高気温が29.5℃と真夏日一歩前の残暑だったところ、その3日後の7日は、10月上旬としては88年ぶりの低い最高気温となるなど、一気に寒いくらいの陽気になりました。
秋が過ぎた頃は「東京地方では木枯らし1号が吹きにくくなっている可能性」があるという点に注意しましょう。
東京地方では、2018年以降の5年間で、木枯らし1号が吹いたとの発表があったのは2020年(11月4日)の1回のみです。それまで40年近くの間は毎年観測されていました。最近の、かなり短期間での急激な変化に見えるため、こちらは地球温暖化というよりは別の要因が影響している可能性があります。
つまり、2014年に東京の観測点が移転したことが関与しているのではないかと筆者は考えています。大手町のビル群の中の圃場にあった風速計が、北の丸公園に移転したことの影響です。それまでは周辺のビル群の影響による、いわゆるビル風によって強い風が吹きやすかったが、移転後はその影響が小さくなり、全般に風が弱めに観測されるようになり、風速8m/s以上という木枯らし1号の発表基準を満たす風が吹きにくくなった可能性が考えられます。
木枯らし1号は、寒気流入による強い冷え込みと顕著な空気の乾燥といった、本格的な冬を迎えるきっかけとなるような”季節の風物詩”的現象です。売場変更の目安にもなっていたはずですが、ここ数年のように木枯らし1号が吹かない年が多いと、本格的な冬に向けて売場の切り替えのタイミングが遅れる懸念があります。木枯らし1号の発表を待たず、最低気温が10℃を下回るタイミングや最高気温が15℃に届かない日が見られるタイミングをきっかけに冬物の展開強化の判断を行いましょう。
以上を是非、今後に向けた知見にしていただきたいと思います。
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