外食・中食市場動向を調査! 回復に向かう外食、伸び率鈍化する中食

2022/10/12 05:55
    崔 順踊(リテールライター)
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    中食市場は伸び率が鈍化

     続いて中食の動向について。21年度の中食市場は基準人口が前年度比0.7%減、実施率は同1.5ポイント増の70.8%、頻度は同0.02回増の5.11回/月、単価は同1.6%増の867円となった。市場規模は1兆5225億円と推定され、同3.5%増となった。

     22年4~7月の合計を見ると、外食市場規模は対前年同期比68.5%増と大きく回復。コロナ禍前19年の73.1%まで回復した。一方で、中食市場は今年に入り4.8%減に転じている。ただし、19年と比較すると19.8%増となっている。

     7月25~26日、感染第7波と思われるタイミングで行われた最新調査では、全国47都道府県の20~69歳の男女から合計1035件の回答を得た。

     「当分は様子を見て外食は控える」という回答は21.0%で過去2番目に低い数字であった。21年11月に緊急事態宣言も解除され、いわゆる平時だった時が21.5%とほぼ同じであった。「変わらない頻度で行くつもりだ/行っている」が24.3%でコロナ禍前と変わらない飲食行動をしている方が過去一番多かった。

     外食意向が変化した理由としては、「感染しないか不安だから」が62.5%、「まだ自粛すべきだと思うから」が31%、「自分が安全と考えていても同行者に迷惑をかけたくないから」が23.5%と、いずれも今年2月より落ち着いた状況になっている。特に「周りの目がきになるから」という回答は直近4度の調査と比較し、どんどん下がっている。

     職場関係、企業・団体で何かしらの行動制限指示を受けている方は55.2%いるが前回と比べ10ポイントほど下がっており、徐々に制約はなくなる傾向にあると見受けられる。

     そのほか、感染状況以外で外食市場の増減に影響を及ぼす因子として反動消費、リベンジ消費と言われる「上向き圧力」と昨今の物価高に対応した節約志向である「下向き圧力」に注目。どちらの影響が大きいかを調べたところ、反動消費を「している」が14.7%、物価高に対応し「消費を控えている」という回答が35.2%で人数ベースでは下方向の圧力(節約志向)が強くかかっていることが推測される。

     コロナ禍で増えた食べ方・食料の買い方で一番利用が増えたのは冷凍食品で26.2%、テイクアウトが25.0%、SMが24.3%という順であった。デリバリー・宅配は11%でり、利用が減った人が12.8%いたことから、デリバリー・宅配は特定の人が数多く頻度高く使ったと思われる。

     加えて、今後は「地方からのお取り寄せグルメ」は増え続けるだろうと回答された方が多く、「通販(インターネット、テレビ等)」と「ディスカウントストア・ドラッグストア」が続いた。ディスカウントストア・ドラッグストアで食料品を買うケースが増えているが、その傾向は今後も続くと思われる。デリバリーや宅配はこちらでも下位にあり、今後競争が激化すると予想される。

     「コロナが始まり最初の2年は外食市場の上下が新規感染者数の上下に大きな影響を受けて波ができたが、昨今はその波が少しずつ小さくなってきている。その分、物価高などほかのさまざまな要素が組み合わさってきている」と稲垣氏は締めくくった。

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