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HIひろせ村上文彦社長インタビュー、プロとSMを成長の柱に魅力ある店舗をめざす

聞き手:高浦佑介 (ダイヤモンド・ホームセンター編集長)
構成:松岡 由希子 (フリーランスライター)
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ホームインプルーブメントひろせ(大分県:以下、HIひろせ)がコーナン商事(大阪府/疋田直太郎社長)に経営統合されて約1年半がたった。1月16日にHIひろせの社長に就任した村上文彦氏はどのように舵か じ取りするのだろうか。改革の進捗(し んちょく)と今後の成長戦略について伺った。

事業拡大に向けた動き

—HIひろせは2023年6月にコーナン商事の傘下に入りました。この1年半をどのように振り返りますか。

ホームインプルーブメントひろせ代表取締役社長村上文彦氏
村上文彦(むらかみ・ふみひこ)
●1972年7月生まれ、大阪府出身。
96年10月コーナン商事入社。
2011年5月執行役員。
15年5月取締役上席執行役員。
17年5月ビーバートザン常務取締役(兼任)。
22年10月コーナンビジネスイノベーション代表取締役会長(兼任)。
24年5月ホームインプルーブメントひろせ常務取締役。
25年1月代表取締役社長(現任)

村上 HIひろせはホームセンター(HC)単独店のほか、食品スーパー(SM)を併設したスーパーセンター(SuC)業態の「スーパーコンボ」を九州で展開している。グループシナジーの創出に向けて、経営状態を安定させることに注力してきた。

 まず、HC商材を見直した。帳合先を変更するとともに、コーナンのプライベートブランド(PB)商品の導入を進めた。その結果、粗利益率が改善し、利益体質に変化している。

 また、これまでコーナングループが手掛けてこなかった生鮮食品の領域でも、グループシナジーの創出に挑戦している。24年11月には、関西で初めてSM「食の蔵JR今宮駅前店」を「ホームセンターコーナンJR今宮駅前店」(大阪府大阪市)の2階に出店した。

 この1年半、経営基盤の確立・強化を進め、今後は事業拡大に向けた動きも考えている。

—コーナンのPB商品の導入や棚割りの切り替えの進捗状況はいかがですか。

村上 まずはPB商品の導入を優先し、これまでに1万品目以上を導入した。

 その一方で、コーナンの成功モデルを標準とした棚割りの切り替えは、まだ道半ばだ。25年度は棚割りの整理に注力していく。

 その先には、地域性への対応も必要だろう。たとえば、クルマ社会が中心の九州では、大都市圏に比べてカー用品がよく売れる。コーナンモデルを基本としながらも、地域性に合わせたローカライズをしなければならない。

 比率としては、コーナンと同様の棚割りが約8割、ローカライズが約2割というのが理想だと考えている。

ホームセンターコーナンJR今宮駅前店
「ホームセンターコーナンJR今宮駅前店」の活性化策として、2階に食の蔵をテナントで出店した

九州の価格戦略、粗利益額を優先

—この1年半で見えてきた課題はありますか。

村上 コーナンの主要な商勢圏である近畿・関東とHIひろせの地盤の九州では、マーケットの状況が異なっている。

 九州はディスカウントストアやドラッグストアの勢力が強く、価格競争が激しいため、単にコーナンのPB商品を導入するだけでは戦えない。利益体質に変化した成果の一部を価格に反映させながら、九州で戦えるような状態にすることが必要だ。

 HC商材では、コーナンから供給されるPB商品の粗利益率をある程度抑えて価格を下げ、客数を増やし、回転率を高める。それにより、粗利益率よりも、売上高と粗利益額を確保する戦略をとっている。

 また、非食品と食品を組み合わせた業態を展開する九州の競合チェーンはいずれも食品の本気度が高く、消費者の支持を集めている。

 ここで戦いに勝つためには、目的来店性が高い生鮮食品で付加価値のある商品を増やし、差別化を図らなければならない。これまで生鮮三品のうち鮮魚に力を入れてきたが、今後は総菜の強化も課題だ。

 

続きをご覧いただく場合、ダイヤモンド・ホームセンター2月15日号をご購読ください。

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聞き手

高浦佑介 / ダイヤモンド・ホームセンター編集長

2010年東京大学文学部卒業、12年同大学院修士課程(社会心理学)修了。14年ダイヤモンド・リテイルメディア入社。『ダイヤモンド・チェーンストア』誌の編集・記者を経て、19年4月よりダイヤモンド・ホームセンター誌編集長。ホームセンター業界のトレンドに精通しており、TV・ラジオなど数々のメディアに出演するほか、ダイヤモンド・リテイルメディアYoutubeでも業界解説動画を配信している。

構成

松岡 由希子 / フリーランスライター

米国MBA 取得後、スタートアップの支援や経営戦略の立案などの実務経験を経て、2008年、ジャーナリストに転身。食を取り巻く技術革新や次世代ビジネスの動向をグローバルな視点で追う。

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