家事代行プラットフォーマーCaSy、急成長の秘密
品質平均評価4.9!カギを握るはキャストエンゲージメント
このように、同社は訪問型ともほかのプラットフォーマー型とも差別化されたビジネスモデルを武器に急成長を遂げ、業界唯一の上場企業にまで上り詰めた。
白坂氏は、「良質なサービスを提供できている自負はある」と、同社のサービスに自信を見せる。主要KPI(重要業績評価指標)である定期UU(一定期間に複数回の利用が見られるユニークユーザー)は、24年第2四半期で7000人を超えている。
定期UUを増やすには、「初回体験と(ユーザーとサービスの)“粘着性”を重要視している」(白坂氏)という。同社サービスではキャストの応募によって毎回マッチングがなされ、ユーザーがキャストを選ぶことはない。よって、「初回体験で誰が来ても一定品質以上を担保できるよう、サービス品質への注力を怠らない」(白坂氏)。粘着性、すなわちユーザーにとって「必要不可欠な存在になる」という観点からも、サービス品質が重要になる。
白坂氏の話す品質の高いサービスとは、モチベーションの高いキャストによるホスピタリティがある「おもてなし」のサービスのことだ。現に、同社のサービス利用者による品質の平均評価は、5点満点中4.9点という高水準を維持している。
では、CaSyではどのようにキャストの高いモチベーションを維持しているのか。その1つが高水準の報酬だ。CaSyのキャストの報酬は、中間コスト削減分を還元するかたちをとっているため、他社に比べて高水準だという。
加えて、キャスト間の相互交流もモチベーション維持に大きく寄与している。CaSyではキャスト同士のコミュニケーションを活性化させるオンラインコミュニティを運営しており、イベントも定期的に開催している。また、評価に応じてランクと報酬が上がり、エプロンのカラーが変わる独自の制度など、成長を実感しながらサービスにおける悩み相談やノウハウ共有もできる仕組みも提供している。
「『働くならCaSyがいい』と思ってもらえるよう、エンゲージメントを高める施策を打ち続けている。良質なサービスを提供してお客さまから感謝されることで、キャストに誇りや自信が生まれ、キャストの継続率を高めることにつながると考えている」(白坂氏)。
他方、他産業と同じく、家事代行サービス業界でも働き手の確保が課題は深刻な課題となっている。CaSyでは、キャストへの高報酬やエンゲージメントを高める施策を通じて品質強化と、キャストの高い継続率を実現したうえで、優秀なキャストによる知人の紹介など新規にキャストになりたい人材を増やしたい考えだ。
設立から10年の月日を経た今、さらに家事代行サービスを日本中に普及させるために「どのようなお客さまにどのような価値を提供するか、再定義すべき時に来ている」と、白坂氏は話す。今後は家事代行を中心に、隣接するニーズにも応えながらサービスに磨きをかけたい考えだ。
24年2月には、家事代行クラウド「MoNiCa(モニカ)」をリリースした。全国に存在する家事代行会社の業務管理をクラウドシステムで支援するとともに、登録事業者が増加するにつれて働き手を融通し合うプラットフォームとしての機能も期待できる。白坂氏は、将来的には自社サービスの伸長だけではなくMoNiCaを通じて業界と協働し、「家事代行サービスを日本中のインフラにしていきたい」と語った。