カゴメとロック・フィールドが新たな業務提携 「野菜」を切り口に2社が連携を深める理由

上林 大輝 (ダイヤモンド・チェーンストア 編集記者)

チャネルの相互活用で顧客接点を拡大

協業をイメージした商品

 今回の提携内容を詳しくみていくと、まず調達の部分では、農業振興を実現するべく、野菜の産地の共同開発、共同調達などに取り組む。開発した産地では、生産者との連携を図ることで環境に配慮するほか、効率的な生産体制を構築する方針だ。これにより、品質の高い野菜の安定調達をめざす。

 また、マーケティングにおいては、お互いの販売チャネルの相互活用で顧客接点の拡大を図る。両社はその例として、カゴメの展開するECサービス「健康直送便」の販路を使用してロック・フィールドの商品を販売するほか、ロック・フィールドが展開する各ブランドの店舗で「健康直送便」の提案するといった取り組みなどを挙げた。

 プロモーションの領域でも連携を深める。たとえば、センサーに手を数十秒当てるだけで推定野菜摂取量を見える化できる、カゴメが開発した店頭設置型デバイス「ベジチェック®」をロック・フィールドが運営する店舗に設置。さらに、共同でのセミナーを開催するなど、野菜や健康をテーマにさまざまな施策を検討する。

 カゴメの山口聡社長は「現在、両社でプロジェクトチームを立ち上げ、計画を立てている段階。野菜の調達は日々難しさを増しているため、川上の方から優先度を高くして取り組んでいく」と意気込んだ。

 ロック・フィールドの古塚孝志社長は「最優先として産地の共同開発を進める。当面は2社で基盤を固めるつもりだが、将来的に多くの会社で取り組みを広げられればよいと考えている」と話した。

 “野菜”を切り口に意気投合した異業種の2社。野菜を取り巻く環境の改善のため、今後さらに具体的な取り組みを進めていく構えだ。

1 2

記事執筆者

上林 大輝 / ダイヤモンド・チェーンストア 編集記者

2000年生まれ。埼玉県出身。法政大学文学部英文学科卒業後、地方新聞社の営業職を経て株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア入社。

流通小売の専門誌「ダイヤモンド・チェーンストア」編集部で執筆・編集を行う。

趣味はお笑い鑑賞、音楽鑑賞。一番好きなアーティストは椎名林檎。

関連記事ランキング

関連キーワードの記事を探す

© 2025 by Diamond Retail Media

興味のあるジャンルや業態を選択いただければ
DCSオンライントップページにおすすめの記事が表示されます。

ジャンル
業態