第121回 「人手不足」は問題なのか? SCが考えなければならない対策とは
“人が足りなくても回る構造”への改革を
もちろん、接客力の向上やサービスの質の維持も重要な論点だ。しかし、これからのショッピングセンターが考えるべきは、「接客を不要にするにはどうすべきか」「人によるサービス以外で、いかに顧客満足を高めるか」という視点である。
営業時間や休業日の見直し、スタッフに対するヒアリングや研修、ロールプレイング、覆面調査などの取り組みも、形式的に実施されるだけでなく、その必要性や負担感に再検討の余地がある。業務がスタッフの時間を過剰に奪っていないか。働く人にとって無理のない環境が整っているか。ショッピングセンターとしてできることを、現場の視点から見直すことが求められている。
人手不足は避けがたい現実であり、今後さらに深刻化していくと考えられる。したがって、ショッピングセンターが取り組むべき本質的な課題は、「人手が足りなくても運営できる体質」への移行である。
かつての環境に戻ることはできず、従来のやり方をそのまま踏襲することもできない。今ある制度や仕組みの見直しは不可避であり、かつての常識にとらわれず、変化に即した柔軟な構造改革こそが必要だ。
川の流れを逆流させることはできない。いま必要なのは、流れに抗うことではなく、新たな流れの中で機能する姿を設計することである。
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