西友買収でトライアルは首都圏をこう攻める?アナリストが評価する意外な点とは
直近、小売業界では有力企業による再編の嵐が吹き荒れました。セブン&アイホールディングス(セブン&アイ)、イオン、トライアルホールディングス(トライアルHD)による大型の再編で、これが今後の業界再編に大きな影響を及ぼしそうです。各社のアクションを評価し、注目点をまとめてみました。
セブン&アイ、自社株買いに2兆円を充てることへの疑問
皆様がご承知の通り、小売業界の業界再編の報が相次いでいます。
セブン&アイ・ホールディングス(セブン&アイ)に関しては、イトーヨーカ堂・ヨークベニマルなどのスーパーストア事業(以下、SST事業)をベインキャピタルに切り出し、セブン銀行も非連結化し、北米のセブン-イレブン・インク(SEI)のIPO(新規株式公開)を行う(過半の議決権を維持)、自社株買いを積極的に行うという展開を打ち出しました。
総合小売の旗を下ろし、SST事業はベインを経由しベストオーナーの元に再活性化させるというところまでは理解できるのですが、その対価約8ooo億円の使途が私にはよく理解できません。北米のSEIがIPOするということは当然新株発行を行うと想像しますし、北米のコンビニエンスストア(CVS)事業で基盤を築くためには出店だけではなくM&A(合併・買収)も不可欠で、すぐにでも大きな資金が必要です。
統合を持ちかけているアリマンタシォン・クシュタール(ACT)社も、当然これに対抗して北米で他社CVSに対してM&Aを仕掛けていくことでしょう。そうであれば、SST事業の切り出しによって得た現金は成長戦略に全額充当すべきではないでしょうか。SST事業の35%の持分維持が必要だとしても、残り65%(約5200億円)は攻めの軍資金であるべきです。さらにSEIのIPOで株式の売出しを行いその対価もセブン&アイの株主に還元するということですが、実にもったいないと思います(注:セブン&アイはSEI の IPO および SST 事業グループの切り出しによって回収される資本のうち総額 2 兆円を自己株式取得にあてると発表)。
筆者がそう考える理由は、以下で説明する通り、国内CVS市場を取り巻く環境だけをみてもはっきりしています。
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