生活雑貨KEYUCAのアパレル好調、構成比15%に! 什器販売祖業の河淳が成功できる理由
ホームファニシングブランド「KEYUCA」(ケユカ)が2020年に展開を開始したアパレル事業が好調だ。運営会社である河淳(東京都/河崎淳三郎社長)の22年12月期におけるアパレル事業の売上は、対前期比111%増と急速に成長している。店舗向け什器の販売を祖業とする河淳は、いかにしてKEYUCAのアパレルラインを成長させたのか。KEYUCA事業部の事業部長を取材した。
「ツーマイルウェア」でリピーター獲得
KEYUCAは生活雑貨や家具などのホームファニシングを扱うブランドだ。運営会社の河淳は2020年、KEYUCA事業開始20周年を記念し、同ブランドから新たにアパレルラインを展開した。今日までに最もヒットした商品は、部屋着と外着の境目をなくした「ツーマイルウェア」だ。「ツーマイルウェア」とは、自宅でリラックスして過ごせる快適性を有しながら、自宅から2マイル=約3.2kmの範囲に出かける際にも適した服装で、類似語の「ワンマイルウェア」よりもおしゃれなファッションを指す。
KEYUCAの「ツーマイルウェア」は、快適に家事ができるよう腕まくりをしやすく、汚れが付いても落としやすい素材を使用するなど、部屋着に適した機能性を備えている。そのうえで、近所の買物や友人との食事に適したデザイン性を採用。デザインのトレンドをスピーディに取り入れるため、海外の製造会社を起用し、小ロット生産で約1カ月半ごとに商品を入れ替えている。
利便性が高く、サステナブルな商品を開発している点も強みだ。
たとえば「ストッキング靴下」は、伝線や足のムレなどストッキングの悩みを解消した商品である。同商品は口コミで人気が広がり、SNSで「痒いところに手が届く商品」と話題になった。ほかにも、トップスやワンピースは加齢や妊娠・出産によって体型が変わってもきれいなシルエットに見えるデザインを採用するなど、お客に長く使用してもらえるためのサステナブルな提案を行う。
KEYUCAがアパレルラインを打ち出した2020年はコロナ禍の1年目で、外出機会の減少が顕著になり、巣ごもり消費の高まりを受けた。KEYUCAでは家具やカーテン、キッチン・テーブル用品、食器などの生活雑貨カテゴリーの売上を爆発的に伸ばした一方、認知度の低かったアパレルラインは苦戦を強いられた。
しかし、コロナ禍で「ワンマイルウェア」の需要の増加をきっかけに、KEYUCAの「ツーマイルウェア」も注目を浴びてヒット。20代から子育て世代まで、幅広い女性から反響を呼び、リピーターを獲得した。現在、KEYUCAの売上全体に占めるアパレルカテゴリーの構成比は約10%まで成長している。ケユカ事業部・事業部長、渡邉陽平氏は「現在はコロナ禍の収束で巣ごもり需要が減少、生活雑貨カテゴリーの売上は反動減となったが、その分をアパレル事業の成長により補っている」と話す。