カスタマーハラスメント抑止・リスクヘッジに有効!5つの対応策を解説

西尾 晋(エス・ピー・ネットワークエス・ピー・ネットワーク執行役員・総合研究部担当/主席研究員)
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<対応策②>迷惑行為を含むカスタマーハラスメントなどの実態把握

 迷惑行為の実態把握をしておくことも重要だ。店舗で対応しているクレーム案件がすべて本部に報告されていないケースが散見される。

 たとえば、実際には現場の従業員や店長が、迷惑行為を含むカスタマーハラスメントの対応に苦慮していても、それが記録・報告されていない、などといったことである。こうした状況下では、従業員の被害実態を把握できないばかりか、当該行為を予防するための十分な対策もなしえない。

 そのため、まずは自社の従業員から、現場で遭遇した迷惑行為を含むカスタマーハラスメントの類型や被害状況などの実態把握に努めることが重要である。当社では、実態把握をするためにアルバイトを含む全従業員向けのアンケートなどを活用し、実態に関する情報の収集をお勧めしている。時間帯別や地域別などの分析をし、迷惑行為を含むカスタマーハラスメントが起こりやすい時間帯やエリアを把握でき、それに合わせた人員配置や対策も取りやすくなるからである。

 また、こういう取り組みを従業員が認識すれば、従業員やブランドを守ろうとする企業の姿勢が世間に徐々に広まり、評価されることもあり得るだろう。

<対応策③>防犯カメラの活用や従業員の巡回・声がけなどによる抑止

 迷惑行為の防止には、監視カメラの設置も有効だ。加えて「撮影中」「安全管理の為、店内を撮影しております」といった告知をすることも効果がある。「監視されている」「悪ふざけした映像が残るかもしれない」と迷惑行為に心理的な抵抗感を抱かせることで、迷惑行為などの抑止につながる場合がある。

 従業員の巡回も効果的だ。お客さまの周りを巡回したり、カウンター越しにお客さまの近くに移動したりして、従業員に見られていることを意識させる。さらに巡回・移動などの際に、迷惑行為や禁止行為が見られればすぐに注意をして、大きな事態になる前に迷惑行為などを抑制することができる。

 巡回・移動の際に、接客・接遇の一環として、適宜声掛けをするのも効果がある。声がけをすることで、お客さまに対して「あなたたちを見ていますよ」と伝えられるため、迷惑行為をやろうとしても人目が気になり、迷惑行為を行うことを躊躇しやすくなる。

 巡回・声がけなどにおける抑止は、コストがかからないので導入しやすい取り組みの一つだ。常時巡回せずとも死角となる部分を巡回したり、悪ふざけをしていそうな様子を察知した場合にその近くを見回って声がけをするだけでも効果がある。

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