高齢化率42%の狭小商圏にオープン!スーパーのさとう、人口減でも成り立つ店とは?

取材・文:森本 守人 (サテライトスコープ代表)
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人口減少が顕著なエリアにある、老朽化した食品スーパー(SM)。一般には撤退するケースも各地で散見するが、あえて建て替え・増床に踏み切ったのが、兵庫県豊岡市にあるさとう(京都府/佐藤総二郎社長)グループのSM「ミニフレッシュ但東(たんとう)店」だ。さらに市場が縮小するとみられるなか、勝算はあるのか。現地に足を運び、その取り組みをレポートする。

65歳以上が4割以上、超・高齢化地域

 兵庫県北部に位置し日本海に面する豊岡市は、西日本屈指の豪雪地帯として知られる。人口の推移に目を向けると、国内にある他の多くの市町村と同様に、減少している。

 国勢調査によれば、2020年時点での人口は7万7489人。15年調査時の8万2250人からは約5.8%減っている。

 その豊岡市で、最も人口減少が顕著なエリアが、今回とり上げる但東町だ。20年調査時は3745人で、15年の4255人と比較すると、わずか5年の間に約12%も少なくなっている計算だ。

 高齢化率(全人口に占める65歳以上の比率)も高い。総務省「人口推計」によれば、日本の1 9 年時点の高齢化率は28.4%。これに対し、豊岡市は32.7%(豊岡市推計)と約4ポイント(pt)、さらに丹東エリアについては42%台(同)と約14ptも上回っている。国全体が丹東エリアの水準に近づくのは45年以上も先のことで、まさに日本の未来の姿がここにあるといっても過言ではない。

ミニフレッシュ但東店
旧店を移転、売場を拡大した「ミニフレッシュ但東店」

店舗概要
●所在地: 兵庫県豊岡市但東町南尾113-1
●売場面積: 480㎡
●営業時間: 7:00~22:00

 そんな但東町において、長らく営業を続けてきたのが旧「ミニフレッシュ但東出合店」だ。運営するのは京都府福知山市に本部を構える、さとう(佐藤総二郎社長)グループのさとうフレッシュフロンティア(京都府/佐藤総二郎社長:以下、さとう)である。

 オープンは1992年。売場面積は275㎡とコンパクトな規模ながら、長らく地域の生活を支えてきた。しかし急速な人口減少に伴い、売上高は下降傾向にある。改装により、一時的に回復した時期もあるが、総じて右肩下がりの状態が続いてきた。

 店はさとうグループでは数少ない木造建築で、30年が経過し老朽化が進んでいた。厳しい環境から考えて、一般には、最低限の手直しで「現状維持」、もしくは収益性を考慮すれば「撤退」も検討するケースといえるだろう。

商圏人口はわずか約1600人

ミニフレッシュ但東店のオープン日の店内の様子
10月13日のオープン日、店内は多くの利用客で賑わっていた

 こうした商圏環境であるにもかかわらず、さとうが選んだのは、そのどちらの道でもなかった。

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取材・文

森本 守人 / サテライトスコープ代表

 京都市出身。大手食品メーカーの営業マンとして社会人デビューを果たした後、パン職人、ミュージシャン、会社役員などを経てフリーの文筆家となる。「競争力を生む戦略、組織」をテーマに、流通、製造など、おもにビジネス分野を取材。文筆業以外では政府公認カメラマンとしてゴルバチョフ氏を撮影する。サテライトスコープ代表。「当コーナーは、京都の魅力を体験型レポートで発信します」。

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