1杯1000円の自販機ラーメンを成功に導いた、緻密なマーケティングと商品戦略とは?
全国の有名ラーメンを冷凍自動販売機で購入できる「ヌードルツアーズ」のサービスが開始されて約8ヶ月、1杯1000円で5種類のハイクオリティのラーメンを1台の自販機で販売しているが、人気はうなぎ上りだ。2021年3月に1台目を自社工場の前に設置してから現在は53台、全国46ヶ所に自販機を設置、順調に販路拡大を続けるが、コロナ禍で立ち上げ、今日、成功した要因とは何だったのか、丸山製麺取締役の丸山晃司さんを工場に訪ね話を伺った。
自販機で本格二郎が買える!麺も「完コピ」
丸山製麺は、1958年創業の老舗製麺所で設立以来、主にラーメン屋やそば屋、うどん屋向けに業務用製麺の製造・販売を行なってきた。しかし、緊急事態宣言の発令とともに時短要請により、取引先は営業を制限せざるを得ず、丸山製麺の売上も激減した。取引先のラーメン屋からも相談を受け、「店舗営業以外での売上をつくる」ことを目的に模索した結果、中食に注目し「ラーメン自販機」に行き着いた。
自販機では、各ラーメン屋のオリジナルスープが冷凍されたものと、それぞれの店の麺を丸山製麺が「完コピ」した冷凍生麵のセットを1つ1000円で販売している。
冷凍生麺は、同社の開発チームが試行錯誤を繰り返し各ラーメン店の同質、同クオリティの麺を作り上げる。ラーメン店とコミュニケーションを取りながら、商品化までは2、3カ月かけるこだわりようだ。「お店で食べるのと同程度のクオリティを担保できないと、1000円では提供できませんから」と丸山氏は真摯に語る。
特に人気のある商品は「バリ男」の二郎系ラーメンだ。丸山氏はその理由を「外食においては、とてもヘルシーなものか、ジャンクなもの、両極端のニーズが増えている。ラーメンにおいては地方にはない、東京ならではのインパクトのあるジャンクな種類が盛り上がっている」と分析する。
コロナ禍で拡大した中食市場、「自宅で本格的なラーメン」がキーワードに
今後は、ラーメンのラインアップを増やしていく予定で、向こう半年~1年以内に100~200台の設置を目指している絶好調っぷりだ。ただし、現在は、自販機の設置を要望する声が増えているものの、そのための麺の製造が追いつかないため、あえて新規参入障壁を設けて抑制しているような状況だ。
なぜ「ラーメン自販機」はこれほどまでに人気を博しているのだろうか。