収益構造から考えるネットスーパー黒字化へのヒント 1顧客当たり営業利益率に注目しよう
「本気度」が成否を左右する!
もう一つ大きいのが「本気度」です。とくに店舗経営が上手くいっている企業ほどネット宅配には本腰が入っていない、言ってしまえば“ちょろっと”やっています。ネット宅配で一番失敗するケースが、ネット宅配を店の補完だととらえ、「ちょろっとやること」です。これはまず上手くいかないでしょう。
なぜなら前述のとおり、ネット宅配は決して店舗の延長線上にはないからです。たとえばメーカーが「自社でモノをつくれるのだから、店舗を出したら成功するだろう」と考えて、簡単な気持ちで“ちょろっと”出店したらどうなるでしょうか。上手くいくはずがありませんよね。
異業種がノウハウゼロから成功しようと思ったら大変なエネルギーが必要です。店舗経営が上手くいっているスーパーが新店を出すときは1店舗たりとも手を抜くことはありません。叡智を結集して商圏を調査し、工夫し、管理するでしょう。だから成功するのです。
本気度のないネット宅配は「富士山をサンダルで登るようなもの」
ネット宅配というのは、言うなればネット上にその企業の新店を創るようなものです。しかもどの店舗よりもはるかに大きな売上になる可能性を秘めている。それなのに新店をつくる時とは比較にならないくらいに経営者が手を抜いているわけです。
たとえて言えば、富士山に登るのにとりあえずまずはサンダルで登ってみて、それで上手くいくようであれば真剣にやるというようなものです。これでは必ず怪我するか遭難することでしょう。やはり、最初からしっかりと登山靴を履いて挑戦しないと登頂には成功しません。
ただ、この「本気度」という点では、コロナ前とコロナ後で状況がかなり変わってきています。コロナ前のネットスーパーは大半が売れなくて困っていましたが、コロナ後は逆に売れすぎているというケースも多くなってきました。大胆な中期売上目標を明言する企業も出てきています。ただ逆にまだ煮え切らないところも多くあります。コロナ後のネットスーパーは、本気度の高いところがそうでないところを凌駕するケースが多く見られるようになるでしょう。
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