200円台のスイーツも
よく売れるように
ローソンは9月27日から、新型コロナウイルス(コロナ)感染拡大下での消費者マインドに対応した商品として、スイーツの新商品4品を順次発売する。なかでも、ワンハンドで食べられるガトーショコラ「生ガトーショコラ」(220円:以下、すべて税込)は、発売3日間で累計100万個以上を販売したバスク風チーズケーキ「バスチー」を超える商品に育成するという。
ローソンは2009年に、いまや看板商品となっている「プレミアムロールケーキ」を発売して以降、流行の兆しを捉えたスイーツ商品開発でヒット商品を多く生み出してきた。たとえば17年6月からは、世界的に有名なチョコレートブランド「GODIVA」との共同開発商品をシリーズ展開し、新商品発売の度に話題を集めているほか、前述した「バスチー」は21年8月末時点で累計販売個数が6800万個を突破した。
そんなローソンが、コロナ禍でこれまで以上にスイーツ市場に好機を見出している。実際、ローソンでは21年1月~8月のチルド和洋菓子の全店売上高が、コロナ以前の19年同時期と比較して約15%伸長。購入単価も上昇傾向にあり「これまでスイーツが最も売れる価格帯は100円台だったが、最近は200円台の商品の動きも非常によくなっている」(ローソン商品本部ベーカリー・デザート部の坂本眞規子部長)という。
スーパー・コンビニが
スイーツの買い場に
スイーツ市場の好機をさらに裏付けるデータとして、洋生菓子メーカーのモンテール(埼玉県)がまとめた「スーパー・コンビニ スイーツ白書2021」によると、約4人に1人が食品スーパー・コンビニのスイーツを食べる回数、量が増加したと回答(回数は全体の26.1%、量は24.7%が「増加した」と回答。n=2000人)。コロナ禍の外出自粛生活で百貨店や専門店に出向くのが難しいなか、自宅に身近なコンビニや食品スーパーがスイーツの買い場になっていると想定される。
消費者心理を捉えた
「ベーシック」×「新規性」
前出のモンテールの調査では、「コロナ禍で重視するようになった『スイーツを選ぶ基準』」についても質問している。その結果、上位3項目は「おいしいと知っているもの(46.1%)」「価格の安いもの(27.7%)」「新商品のもの(13.6%)」(N=2400、複数回答)。自身がすでに知っていて確実においしいものを買いたい人が多い一方で、「新しい商品に挑戦したい」という消費者心理も存在していることがわかる。
こうした傾向を受けてローソンが現在、スイーツ開発のテーマに掲げているのが、「馴染みのあるメニュー・素材」に「ローソン(コンビニ)らしさ」を加えた商品の開発だ。
今回発売した商品を見ると、シュー生地のなかにホットケーキが入った「ホットケーキシュー」(220円)、“どら焼き”と“ショートケーキ”を組み合わせた和洋折衷スイーツ「どらショート 苺果肉ソース入り」(255円)など、いずれもベースはよく知られたスイーツメニューで、そこに新規性を加えていることがわかる。
一大ヒット商品に育成したいという「生ガトーショコラ」は、本来はお皿に添えられている生クリームをケーキの上層部に注ぎ込み、フォークを使わずに食べられる手軽さ・ユニークな形状が特徴。クーベルチュールチョコを使用し、湯煎焼きにすることで「ホロホロ」「しっとり」した本格的な味・食感にもこだわった。
近年、食品スーパーでも店内調理のスイーツ開発が加速しているが、プリンやシュークリームといった基本的な商品が多く、同質化しているとも言える。
そうしたなか、ベーシック商品でありながら形状や名前、さらには異なるメニューを組み合わせるといったローソンのスイーツのユニーク性は、商品開発のうえで多くのヒントやアイデアを与えてくれそうだ。