在庫一元化に、リアル店舗の世界観をECで再現!ノースフェイスのOMO戦略とは
リアルとECで在庫の流動化を促進
ノースフェイスのOMOには、もう一つ大きなポイントがある。リアル店舗とECの在庫連携だ。
「システムのリプレースによって、直営店とECサイトの在庫を一元管理できるようになりました。全国の直営店と、ECサイトの在庫が、我々だけでなくサイトを訪れるお客さまにもオープンになっており、どこからでもリアルタイムで在庫状況を確認できるようになっています」(梅田氏)。
実際、ノースフェイスのECサイトを訪れると、在庫状況が、商品ごとに一目で把握できるようになっている。そして、ある店舗に在庫があることがわかったら、そこから自宅まで直送できる仕組みも整っているのだ。
ここで、一つの疑問がわく。ある直営店の在庫をECで取り寄せた場合、その売上は直営店、ECいずれに上がるのだろうか。
「在庫を持っている直営店の売上になります。また、直営店にほしい商品の在庫がなく、ECに在庫があったとします。この場合も、その直営店のスタッフがECの在庫からお客さまの自宅に商品を直送するように手配できます。しかも、その売上は在庫を持っていたECではなく、接客をした直営店のほうに立つんです」(同)。
店舗から自宅に代引きで発送することで、顧客にとっては再来店しなくても商品が手に入る。それだけでなく、店舗側にとっても自店舗の売上になるので、接客のモチベーションが上がる、というわけだ。
直営店の在庫をECで取り寄せる場合も、直営店スタッフがEC在庫を代行注文する場合も、いずれも直営店に売上が立つ。この仕組みを導入したことで「直営店とECでの在庫の流動化が進みました」と梅田氏は語る。
「各直営店が、ECへの在庫の提供に協力的になりました。彼らもECの在庫に助けられることがあるわけですから、『困ったときはお互い様』という協力関係を築けるようになったんです」(同)。