在庫一元化に、リアル店舗の世界観をECで再現!ノースフェイスのOMO戦略とは

2021/10/14 05:57
    堀尾大悟
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    リアル店舗の緻密な世界観をECでも表現したい

    ノースフェイス オルター店
    2019年原宿にオープンしたザ・ノース・フェイス オルター店内

     リアル店舗とECでシームレスな在庫連携を実現したノースフェイスだが、システム構築よりも「社内の意識醸成にかなり時間を要しました」と、梅田氏は振り返る。

     「在庫一元化のシステムを稼働させる上では、社内における直営店サイドとECサイドの間にある壁を取り払う必要があったんです」(同)。

     2年ほどをかけて各店長とコミュニケーションを図り、何度もミーティングを重ねながら、リアルとECがお互いに助け合う必要性を説いていった。

     「この1年で成果が数字に表れたことで、直営店サイド、ECサイドの双方でようやく『やっていることは間違いではない』と腹落ちできたんです。そこから、目に見えて意識が変わり、在庫の流動化が一気に進みましたね」(同)。

     購買体験と在庫連携の両面で、リアルとECの融合を加速させることができた根底には、セクショナリズムを取り払った意識変革があったのだ。

     それでも、1983年3月 今の場所とは異なる原宿駅竹下通口前に「ウエザーステーション」としてオープンして以来、ノースフェイスをトップブランドに押し上げてきた原動力は、やはり直営店だ。梅田氏も「直営店での成功体験を、EC上でどう再現していくかがOMO推進の課題」と強調する。

    *ノースフェイスのOMOを理解する上では、四半世紀以上にわたる、直営店を通じたマーケティング戦略をひも解いてみる必要がある。10月20日公開予定の後編では、その戦略をつまびらかにしたい。

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