在庫一元化に、リアル店舗の世界観をECで再現!ノースフェイスのOMO戦略とは
リアル店舗での購買体験をECで再現する「オンライン接客」
続いて、2020年にはECシステムの全面的なリプレースを断行した。梅田氏は、「このシステムリプレースの最大のねらいは、本格的なOMOの加速化です」と言い切る。
ノースフェイスのOMOには、大きく二つのポイントがある。一つは、「リアル店舗での購買体験をECで再現すること」だ。
その一環として、直営店のスタッフへの相談をウェブ上で受けられる「オンライン接客」を推進している。きっかけとなったのは、2019年秋、妊婦をターゲットに「マタニティライン」をリリースしたことだ。
「妊婦や小さいお子さんを持つお客さまは、そもそもコロナでなくても外出が制限されますよね。そこで、原宿の親子向け店舗『ザ・ノース・フェイス キッズ』のスタッフとオンラインで話せる接客サービスを導入したところ、好評を頂き、現在は13店舗にまで拡大しています」(同)。
この「マタニティ」でのオンライン接客の成功を、他の直営店や商品ラインにも横展開している。登山者のための高機能商品シリーズ「サミット」もそのひとつで、本格アウトドアの旗艦店「ザ・ノース・フェイス マウンテン」の専門スタッフにオンラインで、商品について問い合わせることができる。
「他にも『ランニング』や『ライフスタイル』など、ノースフェイスの直営店は店舗ごとにコンセプトや取り揃える商品ラインが異なり、一つとして同じ店舗はありません。その店舗ごとの個性を活かした購買体験を、EC上で再現することをめざしています」(同)。