SHEINの秘密、「多品種少量生産」を可能にする広東スマートサプライチェーン網とは?
ファストファッションの大量廃棄問題に挑戦
シーインのビジネスモデルを語る上で、もう一つ重要な論点を指摘しておきたい。
ご存じのように、ファストファッション業界では近年、大量生産して売れ残った商品が大量に廃棄・焼却され環境に悪影響を与えていることが大きな社会的問題として取り上げられている。さまざまな企業がこの問題を独自の手法で解決しようとしており、たとえばSDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)のもと、エコフレンドリーな取り組みを実践している企業の話を耳にすることも多くなった。
そしてシーインも、この大量廃棄問題に対し独自の解決方法を提示する企業である。シーインが提示する解は非常にシンプルで、「ユーザーが欲しいものを欲しいだけ生産することが可能になれば余剰在庫が削減でき、廃棄の無駄がなくなればユーザーにより安い価格でよい服を提供できる」というものである。
それを実現するためシーインは保有しているユーザーデータを多面的に活用し、ユーザーが好むファッション、デザイン、色、サイズ、数量などをより高い確率で予測し、それを生産プロセスに反映し、「必要なもの(多品種)」を「必要なだけ(少量)」製造すれば必然的に余剰在庫も生まれないという世界観を実現しようとしているのである。実はこうした発想は中国D2C業界では数年前から注目を集めており、シーインだけでなく多数の企業がこのような世界観の実現をめざしている。
ファストファッションの新たな王 SHEINの正体 の新着記事
-
2021/09/17
究極のファストファッション!1年で売上3倍の7500億円、モンスター・SHEINが描く未来 -
2021/09/16
調達資金総額5兆円超!?世界の投資家たちがSHEINに熱視線を注ぐ理由 -
2021/09/16
成功のカギは考えない構造!シーインが塗り替えたアパレル4P戦略の 「新しい定石」とは -
2021/09/15
SHEINの秘密、「多品種少量生産」を可能にする広東スマートサプライチェーン網とは?
この特集の一覧はこちら [4記事]
関連記事ランキング
- 2024-10-29ライザップ傘下の夢展望、Temu効果で株価高騰も拭えない「不安」とは
- 2024-10-15利益5000億円越え!世界で圧巻の強さのユニクロが中国で苦戦する理由とは
- 2024-11-05ユニクロがZOZOに出店しない当然の理由と今後のECモールとの付き合い方
- 2024-10-22事業再生、「自ら課題解決する」現場に変えるための“生々しい”ノウハウとは
- 2024-11-12アパレルは「個人売買」「古着」が、今後驚くほど拡大する理由
- 2024-09-27ユニクロが中間価格帯になったことに気づかない茹でガエル産業アパレルの悲劇_過去反響シリーズ
- 2024-09-17ゴールドウイン、脱ザ・ノース・フェイス依存めざす理由と新戦略の評価
- 2024-11-07同じ低価格なのに…GUがしまむらやワークマンと「競合」しない決定的な理由_過去反響シリーズ
- 2021-11-23ついに最終章!ユニクロのプレミアムブランド「+J」とは結局何だったのか?
- 2023-08-08EC時代にスクロールとベルーナだけ好調 生き残るカタログ通販、死ぬカタログ通販