H2Oと関西スーパーが経営統合を選んだ理由とは?巨大リージョナルSM連合誕生の背景

森本 守人 (サテライトスコープ代表)
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10%程度の資本結びつきでできることは限定的‐関西スーパー

関西スーパーの営業収益は1309億円

──関西スーパーの福谷社長に聞きたい。今回、経営統合にいたった最大の理由は何か。関西スーパー福谷社長 今回の経営統合の話は、昨日、今日に始まった話ではない。16年にはH2Oさまと資本業務提携を締結し様々な取り組みを進めてきた。これまで資本関係は10%程度の結びつきだったが、これではできることは限定的。関西スーパーの将来を見据え、ともに関西エリアでお客さまの支持を獲得しようと考えたのがまさに今回のタイミングだった。具体的には7月上旬から踏み込んだ協議をしてきた。

 各店が地域のお客さまの支持を獲得、また従業員がクリエイティブに働ける環境を整備するという観点から、最終的にH2Oさまとの経営統合という結論を出した。

──イズミヤ、阪急オアシスの決算を見るといずれも赤字を出している。6期連続の増収、2期連続最高益を出している関西スーパーと比較すると、稼ぐ力は弱いと言える。2社の経営改善、収益力強化にあたって何が一番にポイントになりそうか。

関西スーパー福谷社長 お相手のあることなので、まずは当社の取り組み、また一般論を聞いてほしい。

 売上高を構成するのは客数と客単価。同じSMでも、客数に軸足を置く企業と、客単価を重視する企業があり、それぞれ営業施策が大きく変わってくる。弊社では、この6年間、客数を増やすことに邁進してきた。やはり半径12㎞圏内のシェアアップ、支持率として現れるのが客数だと考えている。

 もうひとつ注力してきたのは買上点数を上げる施策。来店していただいたお客さまに、できるだけ多くの商品を買ってもらうことを意識してきた。そのためには、常に品切れがなく、品質のよい商品を、ワンストップで買えるという買物環境を整えることだと思う。

 2社が赤字とのことだが、企業はその時々で業績が良くなったり、悪くなったりするもの。単年度だけど見て判断できるものではない。私はイズミヤ、阪急オアシスとも、十分な潜在能力を持つ企業であると高く評価している。それぞれの特徴を生かし、SM企業同士が同質化競争に陥ることなく、努力、切磋琢磨することが大事だと思う。

 

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記事執筆者

森本 守人 / サテライトスコープ代表

 京都市出身。大手食品メーカーの営業マンとして社会人デビューを果たした後、パン職人、ミュージシャン、会社役員などを経てフリーの文筆家となる。「競争力を生む戦略、組織」をテーマに、流通、製造など、おもにビジネス分野を取材。文筆業以外では政府公認カメラマンとしてゴルバチョフ氏を撮影する。サテライトスコープ代表。「当コーナーは、京都の魅力を体験型レポートで発信します」。

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