成功事例続々、導入企業急増のプロセスセンター ビジネスに変革もたらす「魔法の杖」にする方法

森本 守人 (サテライトスコープ代表)
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衛生的な商品への需要が拡大

 PC導入のメリットを紹介したが、何より大きいのは、コスト低減効果である。前述の通り、各店でばらばらに行っていた作業をPCで集中的に加工、店舗にかかっていた人件費、また人時を減らすことができる。

 低減したコストの使い方次第では、ビジネスは大きく広がる。今回、企業の最新事例を取材したが、その取り組みは多様だった。

 ある企業は付加価値を生む商品、作業に人時を集中した結果、売上高、利益の拡大に成功していた。またある企業は、低減したコストを、売価に反映、さらに価格訴求を強めることで集客していた。またPC導入の目的を「店内加工を強化するため」とする企業もあった。本来、店の人員を減らすためのPCだが、これまで重視してきた店内加工を今以上に強めるという発想は斬新だった。

 同じPCでも、めざす方向が違えばどのようにも使うことができる。まさに「各社各様」だと感じた。逆に考えると、企業が将来展望をしっかりと持ったうえで活用すれば、思いのままのビジネスを展開できる可能性をPCは持っているのかもしれない。

 PCで加工した商品へのイメージは変化しつつある。ほんの1年半前までは、店内で加工、調理する風景をあえてお客に見せることで鮮度、にぎわいをアピールするSM企業は多かった。しかしコロナ禍では、衛生的な環境で製造される商品への需要は確実に増している。

 人手不足問題への対策として、PCはさらに導入が進むと見られる。しかしそのような消極的な理由からだけではなく、自社の強みを最大化する戦略を持ち、あるべき姿を明確にしたうえで活用するなら、PCはまったく違った道具になる。つまり従来のビジネスモデルを強化、再構築、変革するための「魔法の杖」にもなりえるはずだ。

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記事執筆者

森本 守人 / サテライトスコープ代表

 京都市出身。大手食品メーカーの営業マンとして社会人デビューを果たした後、パン職人、ミュージシャン、会社役員などを経てフリーの文筆家となる。「競争力を生む戦略、組織」をテーマに、流通、製造など、おもにビジネス分野を取材。文筆業以外では政府公認カメラマンとしてゴルバチョフ氏を撮影する。サテライトスコープ代表。「当コーナーは、京都の魅力を体験型レポートで発信します」。

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