受験生を持つ親のホンネ(親心)をとらえた明治R-1のインサイトとは
インサイトを活用するポイント
ここに挙げた2つの例は、消費者や買い物客のインサイトを見つけて、それを商品の売上や購買行動につなげることで効果を上げてきた。これらの展開に共通するものは、人の中にある「願望」や「不安」を見つけて、それをどの様な場面やシーンを捉えて伝えるか(R1では受験シーズン)や、思わず行動に移したくなる(母の日のブーケサラダ)と言った「文脈」を作り上げている点にある。人の声や意見を集めたモノの中からインサイトを見つけて、それを上手な展開につなげていくには、この「場面の捉え方」と「文脈づくり」のあり方がポイントになる。
今回から1年を掛けて「インサイト」の見つけ方と、それを如何に効果的な展開(プロモーションや事業)につなげていくかを、できるだけ事例を含めながら伝えていきたいと思う。インサイトによる捉え方が注目される理由に、細分化されすぎた生活者や消費者を今一度大きなテーマでくくり直そうとする考えと、ビックデータ解析の様に数値を追求する中で、人は理屈や理論では捉え切れない生き物だとする考えが挙げられる。それらに、現在のコロナ禍による未来や先行きへの不安などの不透明な要素が加わり、あらためて「人」を測り直そうといったマーケティング活動の基本が大事になりそうだ。
プロフィール
倉林 武也(くらばやし たけなり)
株式会社リテイルインサイト
代表取締役コンサルタント アカウントプランナー
美術学校・私立大学卒業後に株式会社クレオに入社。企画職、営業開発部、教育研修部部長として流通小売業、メーカー、サービス業のマーケティング、プロモーションの業務に従事。2018年11月に起業、株式会社リテイルインサイト(千代田区大手町)を設立。代表取締役。コンサルタント、アカウントプランナーとして主に大手メーカー企業、リテイルにおいて、消費者や買物客のインサイトを起点にした行動デザインの応用や、実務的なデジタルの活用など人や組織を動かす仕組みを追求している。2015年から2020年の国内外の主に店頭におけるプロモーション事例を収集・分析。学習院マネジメント・スクール研究員。
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