1500人商圏でも出店できる!さとう、ローコストの仕組みと強い売場づくり4つの施策
少子高齢化や人口減が進むなか、そうした地域でも収益が成り立つ店づくりが食品スーパー(SM)各社に求められている。京都府福知山市に本部を置き、事業を展開するさとう(佐藤総二郎社長)は、人口が少ないエリアにも果敢に出店を重ねている。その最新店から、同社の勝算と、独自の施策に迫った。
1次商圏人口はわずか約1500人
さとうは6月3日、兵庫県丹波市にSM「フレッシュバザール氷上インター店」(以下、氷上インター店)をオープンした。同店はJR福知山線「石いそう生」駅から西北西約1.5㎞に立地。県道7号線に面するとともに、北へ約350mには北近畿豊岡自動車道の「氷上」インターチェンジがありクルマでのアクセスがよい。
![フレッシュバザール 氷上インター店](https://diamond-rm.net/wp-content/uploads/2021/07/dcs210715_DCS_Report_2_Sato_00.jpg)
同店の大きな特徴は、足元商圏の人口が極端に薄い点だ。1次商圏に設定する半径1㎞圏内に居住するのはわずか571世帯/1561人しかいない。
一方で、競争は激しい。近隣の競合店としては、とくに北西約220mにある総合スーパー「ゆめタウン丹波」は、氷上インター店の駐車場からその看板が見えるほど至近にある。また、南西約800mでは大規模商業施設に入る「コープ柏原」が、南東約1.1㎞ではディスカウントストア(DS)の「ザ・ビッグエクストラ氷上店」も営業しており、有力な大型店が点在する。
さとうは、今回出店した丹波市を含む北近畿エリアを主な商勢圏としている。しかし同エリアでは人口減少が急速に進行していることに加え、食品の取り扱いが大きいドラッグストア(DgS)やDSといった異業態も台頭し、年々競争が激化している。
兵庫県丹波市は、さとうが強固な店舗網を構築する行政区の1つだ。今回で7店目の出店となり、兵庫県豊岡市の13店、京都府福知山市の11店と並び、多くの店を投じている。高いシェアを確保するエリアとはいえ、周辺に人家が少なく、有力店が至近でしのぎを削る激戦区であれば、新店を投じることに躊躇するSM企業は少なくないはずだ。
そんななかでも今回、さとうが出店を決めるにいたった理由について、店舗開発担当の後藤弘和専務は次のように説明する。「確かに足元商圏は薄い。だが周辺は商業施設が集積し、買物客が集まるエリアであり、それに対して生鮮を強化した日常づかいのSMはまだ少ない。また丹波市にある当社の既存店の業績を見て、出店しても集客は可能と判断した」。
さとうは、氷上インター店のように足元商圏の薄い立地でも出店するケースが少なくない。たとえば2018年10月に新規オープンした「フレッシュバザール城陽寺田店」(京都府城陽市)や、同年2月に新装開店した「バザールタウン豊岡メガ・フレッシュ館」(兵庫県豊岡市)も周辺に人家の少ない地域に出店した店舗だった。そしてそのいずれの店舗も現在、高い支持を得て、繁盛店となっている。
PC機能も備える物流センターを整備
なぜさとうは人口が少ない商圏に出店できるのか。
DCS Report の新着記事
-
2024/07/16
ロピア、初のFC、初の沖縄店舗を徹底調査!本土と同じ点、違う点とは -
2024/07/04
ミニストップ、進化した独自モデルの実力と戦略とは -
2024/07/02
老舗うなぎ店もスーパーも採用「特殊冷凍」がビジネス変える! -
2024/06/18
イトーヨーカ堂の新総菜ブランド「ヨーク・デリ」のねらいとは -
2024/06/18
ローカルスーパー生き残りの一手!オギノHDが青果卸買収のねらい -
2024/06/17
食品スーパーも学ぶべき!杏林堂最新店の地産地消食MDとは
この連載の一覧はこちら [225記事]
![DCS Report](https://diamond-rm.imgix.net/wp-content/uploads/2020/07/DCS-Report680.jpg?auto=format%2Ccompress&ixlib=php-3.3.0&s=e79acaca1dcba96fd20a94a92db62b95)
さとう(フレッシュバザール)の記事ランキング
まだデータがありません。
関連記事ランキング
- 2024-06-26上場食品スーパー決算ランキング2024 好決算目立つも格差拡大
- 2024-07-11リニューアルでロピア化した「スーパーバリュー草加店」の売場を解説!
- 2024-07-01スマホ1つでレジまで…進化するスーパーマーケットアプリの現在地
- 2024-06-17フードウェイ上大岡mioka店の売場づくりを徹底解説!横浜3店目
- 2024-07-12「地場DS」でわずか5店舗でも競争勝ち抜く日東物産の戦略
- 2024-07-05人手不足時代に小売業がとるべき2つのアクションとは
- 2024-07-05あのチェーンも導入!食品スーパーの「量り売り」、成功の秘訣は?
- 2024-07-01ヤオコーの南北政策の旗艦店、伊奈店のシニア対応MD徹底分析
- 2024-06-18ローカルスーパー生き残りの一手!オギノHDが青果卸買収のねらい
- 2024-06-17ヤオコー、バローHD、サミット 24年3月期決算分析と今期の戦略