ビール1本から1時間枠で無料配達 唯一無二のビジネスモデルを磨く!カクヤス佐藤 順一社長

ダイヤモンド・チェーンストア編集部 (株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア)
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──酒類価格の今後をどう見ていますか。

クラフトビール
6月の改正酒税法の施行で、ストロング系酎ハイ、クラフトビールなどの販売が好調だ

佐藤 改正酒税法は、小売業や卸売業だけでなくメーカーにも適用されます。じつは、来年3月の値上げをすでに発表したビールメーカーもあります。ビールメーカーでは缶は儲かっていますが、瓶や樽生は儲かっていません。赤字販売はできませんから、瓶や樽生などの価格を是正する動きではないかと見ています。

 2020年代に予定されているビールの減税との関係で考える必要もあります。ビールの税金は現在、350ml缶で77円、発泡酒は47円、新ジャンルが28円ですが、これが55円程度に一本化されます。税金はビールが22円減りますが、新ジャンルは30円近く増えます。要は税の格差をなくすという流れがあるわけです。今回の酒税法改正、そして来年のビール値上げを合わせたものが、この減税で戻ってくるというようなイメージでしょう。ただし減税はまだ先のことで、その間に価格が上がりますから、消費にはかなり影響が出ると見ています。

B to Bウェブサイトで営業活動を効率化

──17年度の重点施策は何ですか。

佐藤 一元物流センターのスムーズな稼働、そして法令遵守を徹底することです。

 価格改定時に行き届かなかったのが、取引先の飲食店さんに対して十分な告知ができなかったことです。当社は4万5000軒の取引先を持っています。営業マンは150人ですから、1人当たり300件の取引先を担当していることになります。直接足を運べない取引先に対して文書で案内をするのですが、価格改定を文書で伝えるだけで果たしていいのかという問題意識が営業部の中にありました。

 こうした営業面のさまざまな課題に対応するため、昨年B to Bウェブサイト「なんでも酒やカクヤスナビ」の開発に着手しました。飲食店のお客さまがIDとパスワードでログインしていただくと、注文はもちろん、仕入れの状況のほか、商品情報やキャンペーン情報などを閲覧できるサイトです。

 11月から試験的に運用し、来年1月くらいに本格稼働に移行する予定です。これまで足を運べなかったお客さまにさまざまな情報を提供できるようになります。これはわれわれの大きな武器になると考えています。

──取引先の新規開拓にはどう取り組んでいますか。

酒類展示会「KAKUYASU DEXPO2017」の様子
カクヤスでは売上の3分の2を業務用が占める。今年10月に開催した酒類展示会「KAKUYASU DEXPO2017」。飲食店関係者3000人が来場した

佐藤 われわれは約4割の「間口シェア」があります。都内には11万軒の酒類を扱う飲食店があるといわれていますから、そのうち4万5000軒の取引先があるということは、4割くらいのシェアになります。ただ、取引先は全商品をカクヤスから購入されているわけではないので、売上にするとそこまでのシェアはありません。ですから、飛び込みセールスをしたら、すでに当社の取引先だったということもあります。しかし、11万軒すべて社内システムに登録すれば、取引先ではない飲食店さんに案内ができるわけです。登録していないお客さまがわからないという状態を解消し、全店登録したうえで、情報を持った効率のよい営業活動に取り組んでいるところです。

──商品政策で力を入れていることは何ですか。

グランリッチ
カクヤスは利益率の高いPBを増やし、収益改善につなげようとしている。写真は今年10月10日に新発売したオリジナル新ジャンルビールの「グランリッチ」

佐藤 数十アイテムあるプライベートブランド(PB)を増やしていきたいと考えています。当社のPBには「価格対応型」と「商品軸型」の2つのタイプがあり、ワイン、焼酎、飲料、水などすべての商品カテゴリーで開発を強化しています。当社の販売先に業務用と家庭用があるため、飲食店向けにはラベルや商品名を変える対応をする配慮もしています。

 売上高販管費率は、業務用酒販店が平均14.5%であるのに対して当社は16.5%です。これで戦っていかなければならないことを考えると、ローコスト経営が大事になりますし、利益率の高いPBの取り扱いを増やすことが必要になります。ナショナルブランド(NB)で粗利益率20%に対して同種のPBが30%であれば、多少売上が少なくてもPB化したほうが利益は残ることになります。

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記事執筆者

ダイヤモンド・チェーンストア編集部 / 株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア

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