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活性化する観賞魚用市場、国内屈指の企業グループ「カミハタ養魚グループ」の取り組みとは?

カミハタ養魚グループは、観賞魚関連事業をトータルに扱う企業グループ。「Hikari」ブランドで知られる観賞魚用飼料は国内トップシェアを持つ。観賞魚生体の輸入卸、および養殖、観賞魚用飼育器具の輸入卸を行う神畑養魚株式会社、飼料の開発・製造を行うキョーリンフード工業株式会社、そして販売会社の株式会社キョーリンの国内3社が連携。コロナの影響によって観賞魚市場が活性化するなか、観賞魚の食や、生活環境のすべてにおいてベストな提案を行う同グループの取り組みが注目される。

カミハタ養魚グループの概要

1877年創業の鯉の養殖事業がルーツ

 カミハタ養魚グループのルーツは、1877年に創業された鯉の養殖事業に端を発している。61年にグループの中核企業である神畑養魚株式会社が設立され、その後錦鯉の養殖で成長。68年に飼料部門を分離して株式会社キョーリンが生まれ、79年にキョーリンの製造部門を分離してキョーリンフード工業株式会社が設立された。この間、新たに熱帯魚を基軸にするほか、金魚、水草、海水魚、は虫類、鳥・小動物などへと、事業領域を拡大。

 こうした長い歴史を通して同社が追求してきたのは、「生き物第一主義」。魚が健康に育つ食生活や環境を提案し、観賞魚飼育を失敗なく楽しむための、健康な生体、機能性の高い飼料や用品などを提供してきた。

 同グループの最大の特徴は、観賞魚の養殖・輸入や、飼料の開発・製造、さらには国内外への販売など、それぞれ専業の企業が集まっている点だ。たとえば、生き物の輸入先の海外企業は、逆に言えば、同グループが販売する飼料の海外顧客ともなりうる。こうした取引が可能になるのも、グループ企業が密接に連携しているからだ。

 同社の事業への取り組みが評価され、94年にはスペースシャトルコロンビア号で使用されるメダカ用の宇宙食を開発。宇宙での生命誕生の一役を担うことにもつながった。

左上より
・執行役員 営業部 営業統括部長 村上 恵介
・代表取締役専務 神畑 浩子
・代表取締役社長 神畑 道子
・常務取締役 山本 直之
左下より
・執行役員 国際部 部長 原田 景太
・常務取締役 津田 奈寿夫

神畑養魚株式会社

生体の輸入から飼育管理、ブリードまで「生き物第一主義」を実践

2013年開設、総面積5,000坪の南九州養殖センター

 世界中から熱帯魚・金魚・水草・海水魚・は虫類、鳥・小動物など数千種におよぶ生体を輸入しているのが同社。長時間輸送された生体を、充実した水槽設備と経験豊富なスタッフの管理技術によって健康な状態へ回復させ、日本全国の販売店へ出荷している。

カクレクマノミの商業生産や、ニホンウナギの産卵孵化にも成功した

 姫路市と千葉市に生体管理センターを持ち、総水槽本数は合計約6,400本におよび、世界最大級の規模。また、自然保護と市場ニーズに応えるために、全国5か所に養殖センターを建設。観賞魚・水草など約200種以上のブリードを実施している。これら非常に多種の生体を扱う知見を活かして、飼育用品の開発・輸入、販売事業も行っている。

神畑養魚東京支店、姫路支店などの水槽は、世界最大級の約6,400本

 販売店に対しては、タイムリーな入荷情報を「カミハタビジネスオンライン(KBO)」などで配信。長年のシッパーとの取引や各国代理店とのつながりにより、世界各地から生体を輸入。希少価値の高い生体や、入手困難な生体をブリードし、国内需要を満たしている。

カミハタビジネスオンライン(KBO)で情報発信(写真:左)とKBOのQR(写真:右)

キョーリンフード工業株式会社

国内観賞魚業界初のISO22000を取得

国内観賞魚業界初のISO22000を全3工場で取得

 国内3工場で、安心・安全性に優れた信頼あるフード約7 0 0 種類を製造する。2020年には、国内観賞魚業界初のISO22000を全3工場で取得している。コロナ禍では原料確保が課題となったが、従来から仕入れ先を分散するなど、継続的な努力を続けてきた結果、安定した原料確保に成功。またISO22000取得に取り組んできた結果、品質を落とすことなく増産に取り組み、他社輸入品が欠品するなか、欠品回避することができた。

株式会社キョーリン

世界60の国と地域で愛されてきた「Hikari」ブランド

「Hikari」ブランドに代表される同社の商品ラインアップ。ワールド・ブランディング・アワーズのペット部門で「ブランド・オブ・ザ・イヤー」を受賞している

 初心者からプロまで幅広い観賞魚用飼料を取り扱う国内シェアNo1 観賞魚フードメーカー(※国内シェア55.2%:2020年実績。「富士経済2021年ペット関連市場マーケティング総覧」より)。お祭りで入手した金魚から、メダカ、熱帯魚、カメなど、また世界一の錦鯉を育てるプロ生産用までお客さまのレベル・ニーズに合わせた飼料を販売する。

 関東と関西に物流センターを構え、品質が変わらないように定温倉庫等も完備。徹底した品質管理でお客さまに商品を届ける。同社の「Hikari」ブランドは世界約60の国と地域で販売されている。

 2019年には国内観賞魚業界で初めて、ワールド・ブランディング・アワーズのペット部門で「ブランド・オブ・ザ・イヤー」を受賞している。

山崎研究所 グループ共同の研究施設

プロジェクトごとにグループ3社を横断するかたちで連携を行っている。

グループ3社の共同研究施設として2001年に設立。445本の試験用水槽を設置し、多くの生体を用いた試験研究を実施する

 グループ3社共同の研究所として、観賞魚の栄養学、魚病学、ろ過、水槽環境などに関する基礎研究を行っている。これまで経験則で語られることの多かった観賞魚を科学的に検証し、新たな知見に基づいた新商品の開発を行っているほか、魚病診断や飼料の分析などの業務を担っている。