TQM活動をベースに収益性を高めチェーンストアのご利益を追求=アクシアル 原 和彦 社長
物流全体の最適化図り新潟県外での出店も強化
──15年度からは中期経営計画(15年3月期?18年3月期)を実行しています。
原 17年度までに150億円の投資を行い、売上高2290億円、総店舗数130店舗をめざしています。
その目標を実現するための施策の1つが「ロジスティックスの全体最適」です。商品の調達から、保管、販売まで、物流全体を本格的に見直していきます。
まずは、フレッセイの新物流センターを開設します。来年の秋頃の完成をめざし、すでにプロジェクトがスタートしています。つぎに、食品製造加工の連結子会社ローリーの機能を拡充します。アクシアルには、エブリデイ・ロー・プライス(EDLP)で販売する「パワープライス」商品があります。たとえば「北海道ポテトコロッケ」(1個29円:以下、税抜価格)、「得々いなり」(10個298円)、「極小粒納豆」(45g×3 64円)などで、これらは一定以上の品質でありながら、価格訴求力が高く、リージョナルチェーンとしての規模があるからこそお客さまに提供できる商品です。3社のスケールメリットを生かし、この「パワープライス」商品をより強化していきます。
──アクシアルの商勢圏は人口が減りつつあります。SMの成長機会をどう考えますか。
原 地方の景気は首都圏ほどよいと思っていません。当社の既存店の業績が堅調に伸びているのは、節約志向の高まりによって外食を控えて家で食事をする「内食化」に下支えされているからだと感じています。即食ニーズの高まりもあって総菜の売上が好調で「スタミナ焼き餃子」や「うまさ広がる五目春巻」などのオリジナル商品が支持されています。「家で総菜を食べるのなら、味のよいあのお店に行こう」と考えてもらえるよう、総菜の味を向上させ、差別化を図ってきた取り組みが功を奏しているのではないでしょうか。
新潟県の人口は230万人を切り(15年6月1日現在)、人口減少が進行し、オーバーストアになってきています。200店舗の達成は既存のエリアだけでは難しく、今後は当社の店数が少ない、富山県、長野県などへの出店を進める必要があります。また、M&A(合併・買収)についてもよい話があれば前向きに検討したいと考えています。
──今後、SMにとってどんな要素が必要になると考えていますか。
原 インターネットの活用です。11年にはネットスーパー事業を開始しています。佐渡、粟島浦村を除く、新潟県全域を対象に、店頭の商品を自宅まで配送するサービスです。13年12月には近江店(新潟県新潟市)に加え、寺島店(同長岡市)でも事業を開始し、朝10時までの注文で、新潟県内どこでも当日中のお届けが可能になりました。配送は外部に委託し、配送料金を荷物量やエリアにかかわらず一律300円(税抜価格)とすることで黒字化しています。現時点では、店舗での販売を補完するサービスだととらえていますが、ウエートが高くなっていくと考えています。
今後はITシステムの強化にも注力します。現在は原信、ナルス、フレッセイの3社で、基幹システムや管理会計システムの共有化を進めているところです。
将来的には総資産経常利益率(ROA)15%をめざしていますが、現段階では半分です。まずはROAが2桁になるよう効率性と収益性を高め、足腰の強い企業体をめざしていきます。