マーケットイン発想で売場をつくり直す!=ユニー 佐古 則男 社長

聞き手:千田 直哉 (株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア編集局 局長)
構成:下田 健司
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──今年1月に、ブロイラー鶏肉事業会社を買収しました。

佐古 農産・水産・畜産、すべてにおいて流通構造を明らかにし、安全でおいしいものを安定調達していきたいと考えています。買収の目的は、生産・流通の履歴の追跡について、われわれが保証できること、そして商品の加工度を上げることです。

 産地との協業は以前から取り組んできました。今後、自ら農業や漁業に乗り出すことは考えていませんが、産地と業務提携や資本提携を行うことはあるでしょう。

ユニー

──総菜のメニュー提案にも力を入れています。進捗状況はいかがですか。

佐古 13年8月に、総菜製造会社を買収しました。ここで、常温・チルド・ホット・冷凍という4温度帯の商品を開発し、これらの商品の売場でのウエートを上げていきたいと考えています。

 商品開発の軸は、お客さまの体を健康にする、あるいは害のないようにするということです。この2つの軸で開発していきます。健康軸の商品開発といっても、無農薬や有機栽培の商品を使うということではありません。農薬を適量使わないと、生産性が下がりますから値段が高くなります。作物が病気にならないために、農薬は適量を使うことが必要です。また、1つの商品をとらえて塩分をゼロにするといったことも無意味です。食事の中で、適量の塩分を摂る必要があります。栄養のバランスをとりながら、メニューと単品を合わせて提案するのがポイントになります。

 そういう観点から、従業員が栄養学を勉強して、人間の体に何がいいのかを考えたうえで、商品の提案をすることが必要だと考えています。プロダクトアウトの売場はお客さまに主張する売場になりませんが、マーケットインの売場は主張できます。これが衣料品・食品・住関連品の共通の課題です。

 14年度は勉強の年です。15年度から本格的にスタートして、目に見えるかたちで売場化していきたいと考えています。

──食品以外は、どのように改革していきますか。

佐古 従業員には、「百貨」でなくていい、「五十貨」でいいと言っています。もはや、すべてのカテゴリーを網羅し、ワンストップショッピングを提供し、お客さまを満足させることはできません。しかし、限られたカテゴリーは圧倒的にお客さまから当てにされるようにしなくてはなりません。

 アピタでは、「おしゃれ」「楽しい」「新しい」というキーコンセプトと生活提案という2つの切り口で、まず「コト」をはっきりさせたうえで、何を仕入れるかを決める。コトがあってモノを売るという売場をめざしています。たとえば、「スポーツマルシェ」では、スポーツ用品・用具は扱わずに、フィットネス、ウォーキング、ランニングといったウエアを中心に揃えています。

 1000坪の住居関連売場の中に、「当てになる売場」を50つくる、そんな売場構成にしていきたいと考えています。売場は、自社開発の場合もあれば、他社の力を借りる場合もあるでしょう。北欧雑貨店の「ラガハウス」は他社の力を借りていますし、自社開発では自転車の「サイクルテック」やペットの「ペッツビレッジ」といった売場があります。

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聞き手

千田 直哉 / 株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア 編集局 局長

東京都生まれ。1992年ダイヤモンド・フリードマン社(現:ダイヤモンド・リテイルメディア)入社。『チェーンストアエイジ』誌編集記者、『ゼネラルマーチャンダイザー』誌副編集長、『ダイヤモンド ホームセンター』誌編集長を経て、2008年、『チェーンストアエイジ』誌編集長就任。2015年、『ダイヤモンド・ドラッグストア』誌編集長(兼任)就任。2016年、編集局局長就任(現任)。現在に至る。
※2015年4月、『チェーンストアエイジ』誌は『ダイヤモンド・チェーンストア』誌に誌名を変更。

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