斜陽の「カタログ通販」から大転換 EC業界勝ち組になったスクロールの戦略
次なる成長ドライバーは「ソリューション事業」
スクロールは21年3月期から3カ年の中期経営計画をスタートした。23年3月期に売上高850億円、営業利益26億円の達成をめざす。
この目標を達成するべく、新たな成長の柱として注力しているのがソリューション事業だ。
スクロールはこれまで通販事業で培ってきた物流やその関連受注システムなどのノウハウを子会社であるスクロール360(静岡県)に集約し、同社を中心に外部の通販事業者向け支援サービスを提供している。13年には後払い決済サービスのキャッチボール(東京都)を、18年にはデジタルマーケティングに強みを持つ、もしも(東京都)をスクロール360の傘下に収め、提供メニューを拡充することで顧客企業への提案力を高めてきた。
その結果現在では、物流、受注、決済の代行といった「フルフィルメントサポート」、EC・通販業務を一元管理する「システムサポート」、売上拡大やCRM(顧客管理システム)戦略を提案する「マーケティングサポート」など、通販事業者に総合的なサービスを提供する「ワンストップソリューション」が可能な点が、同業他社にない強みとなっている。
ECの成長を背景にいっそうの拡大を見込める事業として積極投資を進めており、20年5月には、関東圏初となる物流拠点として大型物流センター「SLCみらい」(茨城県つくばみらい市)を稼働させた。これにより全国に計7カ所の物流拠点を持つ体制でのシェア拡大を図る。
このようにスクロールは、通販領域で幅広い事業を展開する独自性の高い企業であることがわかる。鶴見社長は「各事業セグメントを強固なものとし、かつ複合的につながり互いにシナジーを生み出すことで、高収益企業体をめざしていきたい」と語っている。