業績回復の鍵はテイクアウト – トリドール「丸亀製麺」がコロナ禍を乗り切るために変えたこと、変えないこととは?

2020/12/07 05:56
若狭 靖代(ダイヤモンド・チェーンストア 記者)
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コロナ禍での出店戦略は「ハイブリッド型」

 コロナは出店戦略にも大きな影響を与えた。コロナ以降同社は、都心近郊で駅至近の立地にある狭小型店舗に成長の可能性を見出しているという。その理由は、コロナ禍でイートインは座席数を減らすなどの対応を迫られているのに比べ、前述の通りテイクアウトは好調だ。テイクアウト比率をより高め、イートインとテイクアウトを両軸とする「ハイブリッド型」の店舗づくりに丸亀製麺は注目している。

 というのも、うどんのテイクアウトは「駅から自宅やオフィスまでの間で購入し、持って帰って(行って)食べる」使われ方が多く、この利用スタイルを後押しする駅近の店舗は大きな可能性を秘めているためだ。駅近の立地でネックになりがちな店舗の狭さについても、テイクアウトを重視するハイブリッド型店舗であれば支障ない。さらに、テレワークなどによってオフィス街人口が減少していることを踏まえ、「住宅街を多く抱える駅周辺への出店にチャンスを感じている。ハイブリッド型なら30坪あれば出店できるため、立地の選択肢がぐっと広がった」と山口社長は話した。

今後の飛躍に向けた整理と土台作りのフェーズに

 今後の事業戦略について、「コロナとは関係なく、もともと事業全体を見直す時期だと考えていた。今まで拡大路線での成長を続けてきたが、今後さらなる成長をめざすために、各事業の在り方を再考するフェーズにしたい」と鳶本氏。丸亀製麺以外にもさまざまな業態を展開するトリドールHDだが、当面は各事業の採算性の見直しや、それぞれの業態が提供するバリューの明確化に注力する方針だ。丸亀製麺単体では、「今後さらに大きく飛躍するための土台作りの時期。成功モデルと呼べるものは掴めているので、その展開のためのテストをさまざまな立地で進めていく」と山口社長は話した。

 しかし、丸亀製麺が創業から貫いてきたこだわりは譲らない。「コロナで改めて感じたのは“あるべき姿”を簡単に曲げてしまわないこと」とも鳶本氏は話し、コロナで環境が変化する中でも、丸亀製麺のこだわる“手づくり・出来立てを味わってもらう体験”の提供には、今後も全力で取り組む方針だ。

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