流通M&Aの深層 #2 コスモス薬品の「自力成長主義」

森田 俊一
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コスモス薬品(福岡県)は現在、ドラッグストア業界の中で売上高3位のポジションにある。業界トップのウエルシアホールディングス(東京都:以下、ウエルシアHD)、2位のツルハホールディングス(北海道:以下、ツルハHD)がM&A(合併・買収)を繰り返して、規模を拡大してきたのに対し、コスモス薬品はオーガニックな成長のみで現在の地位を築き上げている。コスモス薬品の成長の原動力は一体どこにあるのか――。

2019年2月の大店立地法申請はコスモス薬品が8件

「安さ」だけじゃない!コスモス薬品の強さとは

 流通業界のトップは、「CS(顧客満足)を大事にしないとだめだ」ということよく口にする。リアル店舗を持っている小売業にとって、CSはまさに生命線である。しかし、CSをきちんと実践できている小売業は概して少ないのではないか、と筆者は思う。

 もちろん、低価格で販売することも重要だ。「安さ」もCSのひとつである。また、欠品がなく、品揃えが充実していることなど、CSを構成する要素は種々ある。だが、コスモス薬品が顧客から高い支持を得ている理由は、もっと別のところにあるという指摘は少なくない。

 筆者は先日、コスモス薬品のある店舗を訪ねてみた。店内では「何番レジに入ってください」といったアナウンスが頻繁に流れている。これは当然、お客をレジに並ばせないためだ。レジ待ちのお客の何人か並ぶとアナウンスが流れ、休止しているレジが開くというオペレーションが徹底されている。

「M&A無し」で業界3位の規模に成長!

 高いレベルで標準化された食品強化型ドラッグストアフォーマットを高速出店することで、コスモス薬品はあれよあれよという間に業界3位まで登り詰めた。注目したいのは、業界3位という規模を「M&A無し」で実現しているという点だ。

 現在の売上上位の大手ドラッグストアは、M&Aで業容を拡大してきたところが多い。来年にはマツモトキヨシホールディングス(千葉県)とココカラファイン(神奈川県)が経営統合し、業界トップに躍り出るとみられている。現在、業界トップのポジションにあるウエルシアHDや2位のツルハHDも、大型案件を含めM&Aで現在の地位を獲得したといっても過言ではない。

 今年もツルハHDが、JR九州ドラッグイレブンを取得。少し時間を遡れば、ウエルシアHDは17年に丸大サクラヰ薬局、18年に一本堂(現在は吸収合併)などを傘下に収めているし、ツルハHDは15年にレデイ薬局、17年に杏林堂グループホールディングス(現・杏林堂薬局)や18年にビー・アンド・ディーホールディングス(現・ビー・アンド・ディー)をM&Aしている。

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